K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ECMのLPレコード蒐集の果て


 乗りかかった船から降りるわけにはいかない感覚で(惰性を長く言い回している)、ECMのLPレコードを集めている。残響が鼻につくのは、近年で、やはり初期のアルバムの録音は当時の水準を抜けていたように思う。聴きながら、うっとりすることが多い。上質の媚薬である、音の。ECMについて、CDとLPレコードを比べると、LP時代のアルバムはLPのほうが音がよいと思う。聴者に近い。

 ボク自身の技術感からして、録音媒体の技術としてCD/ディジタルデータのほうが信号対雑音比(SN比)、ダイナミックレンジの全てにわたって優れている。足りないモノは、媚薬的な人的制御、等化技術(イコライズ)であると思う。人間の感覚や聴覚に対し作用する何か、のようなものを媒体や再生機の周波数特性やダイナミックレンジを知悉した技師や奏者、プロデューサーが与えているか、そんなものだと思う。だから、音楽産業が富に溢れていたころは、決して資金的に裕福でない周辺のジャズを含め、優秀な人材が集まったのだろう。だからLP時代のほうが、概して良く作り込まれている、のではなかろうか。

 最近のCDは結構音に満足できることが多く、ようやくディジタル音源の「媚薬」のようなものが定番化したのではなかろうか。2005年あたりから。CDが主役になって約20年を経たあたり、からではなかろうか。

 さてECMのLPレコードだけど、1992年販売のKrakatauのVolition (ECM1466)が「LP/CD併売時代」の最後、ではなかろうか(上記写真)。1980年代中頃から7〜8年の併売期間がそこで終わっているようだ。Discogsの情報をみていると。これ以降、CDのみになっている。

 その前提で数えると、残り19枚。1000番代〜1200番代、SPシリーズ終了(今朝、注文)、1300番代:14枚、1400番代:5枚である。ネットで見る限り、モノはある。緩い蒐集である。今、再び発売されている新譜のLPレコードは基本的には不要だと思う。その理由は、上記の技術感、による。