感覚的には、書き初めとか、そんなものと同じ。とりあえず、今季も形から、という訳でもないが、解禁日に竿をもって沢に入った。
自宅を出るとき、寒暖計は零度。山に入ると次第に気温が下がり、零下二度。路面が凍結している。
車道から暫く、靴先が沈むくらいの雪を踏んで進む。急斜面を滑りながら下る。そして、水流が溜まっている深みに辿り着く。
灰色の空の向こうに、青空が見え隠れしている。
僅か1時間余り、竿を下ろしてみたが、釣果はない。3月は渋いことは分かっているが、やはり、形からでも入りたかったのだ。
風が強まり、木立から容赦なく雪が落ちてきた。早々に竿を仕舞った。そんな季節のはじまり。