K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Gil Evans, Jaco Pastorious: Live Under the Sky Tokyo '84 (1984): 20年前なら驚喜しただろうが

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 20年前なら驚喜しただろうが 、案外、そんなもんかいな、って受け止めている。かなり賞味期限が過ぎているように思えるのだ。

 それでも、今朝、ディスクユニオンtwitterで発売を知り、驚いたのは事実。

 

渋谷ジャズ/レアグルーヴ館 on Twitter: "ブログ更新 / 【JAZZ新品CD】GIL EVANS!ジャコパスがギル・エヴァンスと共演した超貴重音源がきた!!『Live Under the Sky Tokyo ''84』: https://t.co/WckEloUsbm https://t.co/vShlnclRFS"

 丁度、就職して2年目。神奈川の住んでいた処から遊びに行ける範囲でやっていたのだけど、多忙でそれどころではなかった。後で、そのコンサートを知り、悔しい思いをしたものだ。(AEOCの横浜のコンサートは行ってみたが、当日券がなくて悔しい思いをしたのも、その時期かなあ。エアジンで酒をくらったなあ。)

 そんなこともあってボクのなかでは幻。知人から、TVで見ると泥だらけのジャコでひどかった、と聞いて、その後の転落を十分予想されるものだとは、思ったけど。

 生きている間はWord of Mouthそして、日本でのオーレックスジャズフェスティヴァルのライヴTwins (2枚)以降、アルバムもなく、どうしたのか思っているうちに死亡のニュース。夕刊を見て、唖然とした記憶は明瞭に残っている。

 その後、Big WorldなどのBoot紛いの録音を聴くうちに、彼の枯れてしまった姿を知ってしまった。多くのファンと同様、音源を渇望していたので、随分といろいろなものを入手したが、今となってはどれも聴いていない。Word of Mouthも賞味期限が切れたように感じる。Epicからのデビュー作くらいしか聴かない。

 結局、今にして思えば、デビュー作やジョニ・ミッチェルとのライヴ盤、ウェザー・リポートのはじめの数枚、くらいが「頂点」。あとは同じ事を繰り返していたように感じる。それが、早すぎる死の理由でもあるのだろう。

 今回もそれを確認する音源となった訳で、当時の熱狂(確実にその気持ちは分かっていた)を冷ややかに聴く、30年後の自分がいる、ことも確認できるのである。

 このアルバムが素晴らしいのはジャコとの絡みではなく、ギルのオーケストラそのもの。マーク・イーガン、ハイラム・ブロック、Adam Nussbuam(知らない)の作り出すタイトなリズムは魅力的で、ボクが良く聴いた70年代後半のギルのオーケストラよりもファンキーな味が嬉しい。(コブハムが入ったヴィデオもそうだった)

 そして、ブロック、アダムス、ピーターソンのいブロウが響くのだから悪いわけはない。本当に素晴らしい。ジャコも邪魔になっている訳ではなくて、ソロが冗長なだけ。アルバムとしては、聴いてもいいんじゃないかなあ、という内容。少なくとも、Big Worldのnycシリーズのような、マイナーな哀しみ、はない。

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Gil Evans, Jaco Pastorious: Live Under the Sky Tokyo '84 (1984, HI HAT)
1. Stone Free
2. Up From The Skies
3. Orange Was The Color Of Her Dress
4. Jaco Solo
5. Soul Intro / The Chiken
6. Here Comes De Money Man / Eleven
7. Announce
8. Jaco Solo / Goodbye Pork Pie Hat
9. Variations On The Misery / Jaco Solo
10. Dania
11. Announce
Gil Evans Orchestra & Jaco Pastorius
Jaco Pastorius (b), Gil Evans(key), Hirum Bulock (g), Mark Egan(b) , Adam Nussbuam(ds), George Adams(sax), Chris Hunter(sax), Lou Soloff(tp), Hannibal Marvin Peterson (tp), George Lewis (tb), Pete Levin (synth) , Howard Johnson (tuba,bs), Miles Evans (tp)