K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

高柳昌行: Live at Taro (1979, Jinya) 森泰人のライナーノート

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 昨日届いたCD。新宿にあったTaroでのライヴ。高柳本人のカセットテープレコーダーでのモノラル録音。音質は決して良くないが、バランスは十分聴けるモノ。演奏の良さが、音質云々を凌駕している。

 高柳のsecond conceptはcool jazz、トリスターノ的な音を狙った演奏でFreeではない。だから彼の正統的なジャズでの力量を聴くことができる。ギターのキレ良く刻まれたリズムやフレーズがスリリングで楽しい。それに加え弘勢憲二(のRhodesが実にいい。コロコロと転がり、swingする音にくすぐられる。この手のスタイルで、電気ピアノを違和感なく、新たな音として聴かせている、のは凄いなあと思う。そこが新鮮。TBMのCool Jojoとして吹き込まれたアルバムの他、Private録音がJinyaから2つ。Second conceptと、このアルバム。

 録音を聴くと拍手はまばら。客は殆ど居ない、ようである。記録をみるとタローの昼の部。居ないだろうな。そんな空間で生真面目な、素晴らしい演奏が繰り広げられている。

  他のアルバム、Cool Jojo/Second conceptと異なるのはベース奏者、井野信義ではなく森泰人。森自身のライナーノートが入っていて、経緯が書いてある。当時、売れ始めていた井野信義がリハーサルに参加できないことが多く、その代役。Free一辺倒と思われがちな高柳だけど、ラテンやタンゴの演奏も行っていて、勉強になった。その後の北欧でのゲッツらとの共演に役立った、そうだ。その他、古い高柳の盟友・ヴァイブ奏者杉浦良三のことにも触れていて、当時、病院の事務局長。援助の様子も書いてあって、彼との演奏がラテンだったらしい、等々。そのほかの記載含め、珍しく、ライナーノートを隅々まで読んでしまった。

 

LIVE AT TARO /ライブ アット タロー

LIVE AT TARO /ライブ アット タロー

 

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高柳昌行: Live at Taro (1979, Jinya)
1. Come Fall 11:02
2. Time on my hands 11:39
3. You'd be so nice to come home to 11:17
4. Subconscious-Lee 10:30
高柳昌行(g), 弘勢憲二(p), 森泰人(b), 山崎泰弘(ds)
録音会場: ジャズクラブ タロー(昼の部)
録音月日: 1979年5月24日
機 材:カセットテープレコーダー(モノラル)