K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Air: Air Song (1975) 全くもって現代性を持ったアルバムだなあ、と溜息

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 先日、お茶の水で購入。何となく悠雅彦氏プロデュースのWhynotレーベルの質の高さに気がついたので、India Navigation同様、見かけたら手にしている。

 実は30年以上前にAirのアルバムは2枚ほど入手していたのだけど、何となくピンとこなかったこともあって(内容は忘れているが)、今回も迷ったが格安だったので。そんな希薄な購入動機だったのだけど、大正解。

(1)まず録音が実に良い。針を下ろしたら3人の楽器が浮かび上がる。米国的な音圧の高いキレの良い音に持って行かれる。レコード特有の距離感の近さ、が良い。

(2)なぜ昔はダメだったのか。フリー・ジャズへの期待が狭かった、ようにも思う。彼らの持つ作曲的・構成的な要素が、冷たさ、熱気のなさ、のように感じたのだろうと思う。むしろ今は、このような音楽が前衛では決して無くて、むしろ現代ジャズの底流のように聴こえる。フリー・ジャズから今のジャズの本流への向かうような「1970年代の先進的な取り組み」ではないだろうか。

(3)何よりも素晴らしいのは、過去のジャズへの敬愛・respect。ホプキンスがミンガスに聴こえたり、マッコールがリッチモンドじゃないか。模倣している、という意味では無くて、そのような偉大な奏者の後を承ける伝承者のように思えるのだ。スレッギルはドルフィーのように聴こえないが、そうではなくてドルフィーの持っていたヴェクトルのようなものを過去から現代へ伝える、大切な奏者であることに気づかされる。

いや、全くもって現代性を持ったアルバムだなあ、と溜息をついて聴いている。素晴らしい。今のスレッギルを聴く気になってきた。

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Air: Air Song (1975, Whynot)
A1. Untitled Tango(Henry Threadgill) 12:08
A2. Great Body Of The Riddle Or Where Were The Dodge Boys When My Clay Started To Slide(Henry Threadgill) 13:29
B1. Dance Of The Beast(Henry Threadgill) 11:03
B2. Air Song(Henry Threadgill) 12:17
Henry Threadgill (as, ts, bs, fl), Fred Hopkins(b), Steve McCall(ds)
Coordinator : Kazuo Harada, Kuniya Inaoka
Producer, Photograph: Masahiko Yuh
Design, Layout: K. Abe
Mix: Kunio Arai
Record, Mix: Paul Serrano

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