K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Aut To Lunch (2012) ドルフィーの音が造り出す「奇妙な感覚」

  年末は自宅から離れていたので、幾つかのブログを参考にしながら、ネット上の音源を聴いていた。そのなかで、とても気になったのが、コレ。2012年録音で、2015年にネット上でリリース。

 欧州のMonkモノはいつも気になる。ドルフィーのアルバムであった「キリコの絵」のように、歪んだ時空のなかに置かれたような奇妙な感覚、が彼らの音とともに纏わり付く。昔、遊園地にあった「(遠近法の錯覚を使った)魔法の部屋(だったかなあ)」に居るような感覚。その奇妙な感覚が、ある種の快感のように感じる部分があって、麻薬性のある魅力のように感じている。普通のfree jazzなんかよりも、演奏スタイルでなく、音が造る空間のことなので、「何か」からの逸脱感が強い。シュリッペンバッハ、メンゲルベルク、ベニンクのモンク集は、まさにそのような、モンクの音を濾過して、強調したようなイビツな感じが、タマラナク快感。

  楽器は違えども、モンクからドルフィーの音空間って、そんな異空間的な魅力なのだけど、思い起こすと、モンク集は出てくるが、ドルフィー集はすぐ出てこない。あるのだろうか。モンク集よりもドルフィー集のほうが難しいのかもしれない。曲よりはソロが醸し出す部分の比率が高いのかもしれない。だから、このアルバムの記事を見たときに、とても気になった(ブログ主様、素晴らしい記事をありがとうございました。勝手にサイトを引用しますが容赦ください)。

 帰宅して、早速、ダウンロード。6EUと安価。嬉しい。期待(?)のとおりで、を取り出して、21世紀の現代の音として、再構成している。その「継ぎ目」そのものがまた「奇妙な感覚」を生み出していて楽しい。奏者ははじめて聴く人ばかりだけど、ドルフィー役は聴かせまくるし、ドラムのブラッシもラスト・デイトのベニンクみたい。

 ボクがジャズを聴きはじめるより随分前(15年前)にドルフィーはいなくなったのだけど、こんな形で再生され、ボクたちとともに過ごしてくれる、ことは嬉しいなあ、と思うのだ。

 

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Aut To Lunch: Aut To Lunch (2012, Aut records)
1. Gw
2. Gazzelloni
3. Serene
4. Out To Lunch
5. Something Sweet, Something Tender
6. Hat and Beard
7. Out There
8. Straight Up an Down
Piero Bitttolo Bon(as, b-cl, fl), Alfonso Santimone(p, Fender Rhodes), Danilo Gallo(b), Gioele Pagliaccia(ds, perc, banjo), Tony Cattano(tb on 1, 4, 6), Pasquale Innarella(ss on 5)
Engineered by Ivan A. Rossi @ Sam Recording Studio (Pisa) on May 20th, 2012
Assistant Engineer: Marco Gorini
Mixed by Ivan A. Rossi @ 8brr Recording Studio (Milan)
All compositions by Eric Dolphy
Arranged by Aut To Lunch
Artwork: Martina Gunkel
Graphics: Bob Meanza
released February 16, 2015
Produced in 2015 by Aut Records