今回、ライヴに5回。最後がマリア・シュナイダー・オーケストラ。Birdlandでのthe second setで、11PMから。Birdlandははじめて。
開演前にマリア・シュナイダーが現れたり、手洗いでダニー・マッキャスリンと鉢合わせになったり、気分が上がる。
メンバーは以下の通り:
Reeds: Steve Wilson, Dave Pietro, Rich Perry, Donny McCaslin, Scott Robinson.
Trumpets: Greg Gisbert, Tony Kadleck, Nadje Noordhuis, Mike Rodriguez
Trombones: Keith O'Quinn, Ryan Keberle, Marshall Gilkes, George Flynn
Guitar: Ben Monder
Accordion: Gary Versace
Piano: Frank Kimbrough
Bass: Jay Anderson
Drums: Johnathan Blake
最後なので、ワインのハーフボトルを頼み、楽しむことにした。
演奏は(他と同じように)1時間ちょっと。物足りないが、濃密。実は過去評判だったConcert in the gardenを聴いて、繊細に紡ぎ上げられた音の素晴らしさに感嘆するとともに、その脆弱さ、のようなものも同時に気になったのだ。弱々しさ、というか。
今回、ベン・モンダーとダニー・マッキャスリンが目当てで来てみたが、いや、「ラージ・アンサンブル」への意識が大きく変わった。実はビッグ・バンドはあまり聴いていなくて、ギル・エヴァンスだけ。ギルもビッグ・コンボとして、各人のソロ+アンサンブルという聴き方。
今回聴いて、ギル・エヴァンス・オーケストラより遙かに大きな編成で、ギル・エヴァンス的なソロ+アンサンブルを楽しませるだけでなく、編曲そのものの力の強さに驚いてしまった。ベン・モンダーの妖しい音をあえて溶け込まさず、強いアクセントにしたり、など。聴いていると、過去のジャズ、長い歴史が織り込まれたような、様々な音の断面を聴かせながら、今の音として完成している、そんな感じ。
また強くビートを与えており、Concert in the gardenでの繊細さ、と身体的な強靱さを兼ね備えた、そんな昂奮を与えられた。ソロではベン・モンダーとダニー・マッキャスリンに加え、バリトンのスコット・ロビンソンの多彩な音が良かった。
繊細かつ強靱なラージアンサンブルとともに、ギル・エヴァンス的なビッグ・コンボ的な旨味を味わうことができ満足。いや、良かった。
ダニー・マッキャスリンは眠たそうにしていたが、ソロの後、隣のスコット・ロビンソンからの「やるじゃん的」目配せで、二人で盛り上がっていたな。そんな空気を共有できて嬉しかった。演奏後も、メンバーがそのまま客席に溶け込むような感じで、知り合いの観客と談笑する感じは、まさに街に溶け込んだ音を聴いたこと、を実感した。マリア・シュナイダーは正面の観客席に座り込んだしね。