K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Scott Colley Trio @Village Vanguard (New York) ロレイン・ゴードンがあの世へ旅だった晩のセッション

ニューヨークにはじめて出かけたのは1998年の6月頃だから、思い起こすと20年も前だ。ボルチモアからの帰途に寄っているので、今と同じパターン。そのときは嵐で飛行機が欠航し、アムトラックでニューヨークへ。今回のパターンの原型。それから数年に1回来ている勘定。最初のライヴは、今は無きSeet Basilで聴いたピート・ラ・ロカとスティーヴ・キューンのバンドだった。

その後に来たのはいつ頃だろうか。2000年代前半に2回来て、1回目はポール・モチアンのバンド、2回目はジム・ホールのバンド、いずれもヴィレッジ・ヴァンガードビル・エヴァンスと共演歴がある二人を、ヴィレッジ・ヴァンガードで聴くことができて嬉しかった。

当時、インターネット予約はまだで、国際電話で予約したのが懐かしい。今は楽だ。

先週末にヴィレッジ・ヴァンガードを訪問したのだけど、ロレイン・ゴードンの逝去と丁度重なった。

Lorraine Gordon - Wikipedia

ロレイン・ゴードンはBlue Note創業者であるライオンの元妻で、その後、ヴィレッジ・ヴァンガードのマックス・ゴードンの妻に。Three soundsのジャケットを飾ったこともある(これ離婚後だね)。マックス・ゴードンの逝去後、1989年からヴィレッジ・ヴァンガードのオーナーに。

たまたまではあるが、そんな日(6月9日)に訪れたのである。

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今回は、スコット・コリー。あまり印象はない奏者。マーク・ターナーはジョウシャ・レッドマンとともに、やや苦手系。何故行ったかと云うと、まあ一回はヴィレッジ・ヴァンガードに、という理由。

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まず最初にスコット・コリーから、ロレインが如何に奏者を支えたか、その感謝の言葉から。そこで彼女の死を知った。端っこのテーブルに花が置いてあった、ように思う。

期待せずに行った訳であるが、太いベースの音の上で聴くターナーの「ゆらゆら感」も思ったほど悪くなく、ECM的音響処理がなければ、ということのようだ。ドラムのケニー・ウォルセンのドラムのキレが良く、快適。ヴィブラフォーンの演奏も行い、これがフリー的な空間構築型の演奏で良かった。なかなか聴かせると思ったら、ジョン・ゾーン一派でもあるらしい。

最後の2曲にダニー・マッキャスリンが参加。2テナーの豪華版。二人ともゴリゴリのバトルというより、空間に音を敷いていくような演奏で似ていた。2曲目はスコット・コリーが客席に「コルトレーン?コールマン?」と聞く。すぐにコルトレーンの声でコルトレーンの曲。聴きながら、やっぱりコールマンの方が良かったよな、って思っていたのはボクぐらいかなあ。でも、まあ楽しいセッションであった。

それにしても今回の滞在中、ダニー・マッキャスリンのセッションを2回聴いたのだけど、見ていて「いい奴」感が満点。今はそんな時代なんだなあ、と思ったのだけど、どうだろうか。