K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

長良坂の上と下

犀川の南側、寺町の向こうに住んでいた頃は、よく長良坂を伝って川沿いの遊歩道へ降りたり、上がってきたりしたものだ。坂の真ん中には地蔵様の祠もあり、お香の匂いも常に漂っている。だから、夜半頃に通り過ぎると、相応の雰囲気はある。

二度ばかり、その坂に居る「何か」に遊ばれたこともあって、数ある犀川沿いの坂のなかでも、近しい気持ちがある。今は犀川の北側に住んでいるので、とんと歩いていない。

土曜日は親しい友人と久々に呑んだ、場所は寺町。歩いて帰ろうとすると、K君が突然口を開いた。二度もみたんだよ、白髪の老婆。寺町の通りから一本犀川側に入ると、怖い場所だと言いたかったらしい。もう少し聞こうと思ったら、代行が来て、お終い。

外に出ると、一週間近く続いた雨があがり、生暖かい風が吹いている。少し怖い気持ちもあったので、表通りを歩く。そして金茶寮の角を曲がって、長良坂へ。

上から覗き込んでみるが、何も気配はない。

f:id:kanazawajazzdays:20180709122657j:plain

いつものように地蔵様に手を合わせた。そして人の気配がない古い集合住宅の前まで降りて坂を見上げてみる。やはり何もない。あっさりと久々の長良坂を過ぎた。

f:id:kanazawajazzdays:20180709123049j:plain

濡れた石畳の質感のようなものが印象に残った。そして、長良坂以上に濃い地域である猿丸神社の下のほうにあるバーで暫く時間を過ごす週末だった。