K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富樫雅彦: Sketch (1977) 亡くなって久しいが

富樫雅彦: Sketch (1977, Denon Jazz)
A1. Sketch 3(富樫雅彦) 10:02
A2. Sketch 4(富樫雅彦) 6:43
B1. Sketch 2(富樫雅彦) 7:01
B2. Sketch 1(富樫雅彦) 10:54
富樫雅彦(perc), 中川昌巳(fl, fl, perc), 加古隆(p, perc), 翠川敬基(b, cello, perc),
Engineer: Masao Hayashi
Producer [Recording Direction] – Tsutomu Ueno, Yoshiharu Kawaguchi
Recorded at Nippon Columbia's 1st Studio, Tokyo, June 7, 8 & 9, 1977.

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ジャズを聴きはじめた当時(1979年)、ジャズ雑誌を買うと、富樫雅彦のSpiritual Natureが日本のジャズの金字塔として取り上げられていた。早速聴いたのだけど、嫌いじゃないが、どうも聴きたいジャズとは違うかな、という感覚だった。武満徹のノベンバーが合わない、ということに近い。和風仕立て、が苦手なのだ。子供の頃に聴いた、和曲の合唱と同じような違和感があったのだ。

で、手にしたレコードはこれ。当時は町のレコード屋、というのが何軒かあって、そこのジャズコーナーに、こんなのとか、ALMの阿部薫なんかもあったのだ。

このアルバムは一発で気に入った。A面1曲目のしなやかなベースとそれに畳み込むような乾いた打音の織りなす空間に魅了されたのだ。当時のデンオンのPCM録音は上品で、その代わりに熱気が足りないような印象があったが、このアルバムはそんな音空間に見事にハマっている。愉しい。

加古隆の冷たいピアノの音も好みで、暫く聴き続けた記憶がある。B面1曲目が夏の記憶を呼び覚ますような曲調が素晴らしく、これも深く記憶に残っている。ジャズ的な即興だけでなく富樫雅彦の曲そのものが素晴らしいということ。

40年隔てて再び聴くと、当時の音を聴く体験がリアルに蘇ってくる。富樫雅彦が亡くなって久しいが、未だにボクの奥底には居座っているようだ。