K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Duke Pearson: It could only happen with you (1970) 改めて聴き直す

Duke Pearson: It could only happen with you(1970, Blue Note)
 A1.Gira, Girou (Round And Round)
A2.Hermeto
A3.Lost In The Stars
B1.It Could Only Happen With You
B2.Stormy
B3.Emily *
B4.Book's Bossa
Duke Pearson(p),Bob Cranshaw(b), Mickey Roker(ds), Flora Pulim (vo),Hermeto Pascoal (fl, g, b, except *),Burt Collins, Joe Shepley (tp), Jerry Dodgion(al-fl on *), Al Gibbons (al-fl) , Lew Tabackin (ts,fl)
Engineer: Rudy Van Gelder 
Producer: Duke Pearson
Released: 1974
Recorded on February 13, 1970 (track B3) and on April 10, 1970 (tracks A1 to B2, B4) at Rudy Van Gelder Studio, NJ
-----------------------------------------------------------------------

結局のところ好きなアルバムは限られていて、生きている間に聴くことが出来るアルバムの何%かなんだろうな。矢鱈と入手しているが、こんなアルバムに戻るとそう思う。ピアソンはハードバップ期のアルバムも好きだが、1970年前後のふわっと飛翔した感じがいいなあ。今日はコレをゆったりと聴きながら、セカセカと仕事をしている。

 

[2013-02-21] もうひとつの主流(メインストリーム)2

すっかり驚いてしまった。こんな音盤に気がついていなかった、ことに。この数ヶ月のLPレコード放浪記(?)の一つの成果、だと思う。音盤が廻る間、惹きつけて止まない。

チック・コリアのReturn to Foreverと音が向かう方向は同じ。フローラ・プリムが重なり、音の色彩感が重なる。「あの」エルミート・パスコアールが大半の曲を吹くため、より原色の風が吹き抜ける。艶かしい。デューク・ピアソンのピアノは、良い意味で古く、Boperの薫りを残しながら、黒光りするグルーヴ感を「軽く」添えている。この軽さ、が気持ちよい。勿論、Return to Foreverも好きなのだけど、あの翳りのある音場に、僅かながながら暗さを感じることがあって、気になっていた。深い思索なんていらないのに、思索している形を入れたような。

昨日アップしたドナルド・バードのFancy Freeが気に入った。そのプロデュース/ピアノがデューク・ピアソンということで、間髪入れず入手。Fancy Free以上の悦び、音を聴くことの、を感じた。曲ごとにジャズとブラジル音楽との距離感が微妙に遷移する。それが、このアルバムを聴かせる大きな力、となっている。

Donald Byrd: Fancy Free (1969) もうひとつの主流(メイン・ストリーム) - K’s Jazz Days

ボクは勿論、LPレコードで手に入れたのだけど、CDでも最近、再発されているので、是非、聴いてもらいたい一枚。もっとも、A面からB面に移ったときの間合い、みたいなものも味わってほしいのだけどね。

マイルス一派から流れたReturn to ForeverやWeather Reportというジャズ・ジャーナリズムのスポットライトが当たり続けた大きな流れがある。この1枚はReturn to Foreverの2年前に録音された先駆的なものであり、もう一つの主流(メインストリーム)である、とボクは思う。