K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Korg Nu 1:ディジタルの音場で飛翔するEric DolphyのLast Dateは

 Fさんの助けで管球のフォノ・イコライザを導入し、レコードを聴くことが断然楽しくなった。勿論、音質がよくなったことは間違いないが、何年も同じ音を聴いていることの飽き、もあるのだろう。

同じことはディジタル音源にも云える、と思う。飽きがきている、のだ。難聴の駄耳なんだけど。現在は管球式のプリ・アンプC2500に内蔵のDACを用いている。

再生はMACOS上のAudirvana 3。

ただしMAC上の音pathを回避するDirect modeをアクティベーションするために、結構泣いている。 

この環境の終焉が最も恐怖。Big Surからapple processorの流れ、困ったね。

今回導入したのかKorg Nu 1。高速DACでDSDも聴いてみたいと思った。売価が20万円くらい落ちたので、購入。在庫処分に入ったようだ。
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この機械はDAC+ADCのオーディオインターフェース。かつアナログ系のフロントエンドも持っていて、フォノ・イコライザ、コントロール・アンプも内蔵。だからPC+Nu 1+パワーアンプで動作する。出力はDAC出力とDAC/アナログ出力==>コントロール・アンプの出力。前者をバランス・ケーブルでC2500に入力、後者を管球パワー・アンプに出力している。

コントロール・アンプには管球のテイストを出すために倍音発生用の管球的なデバイス(ノリタケの新デバイス)を用いている。周辺を管球で固めているので、効果はよく分からなかったな。(当たり前か)

様々な音源を試してみた。

・クラシックではピアノの美音が素晴らしい、文句なし。聴き惚れた。(児玉桃、ロジャー・ムラロ)

・ロック・ポップスに近い最近の録音も声の質感がとても良い。また音響空間が立ち上がる感じで、音だけでも聴かせる感じ。素晴らしい。(シルヴィアンとかアン・サリーを聴いた)

問題はジャズ系。

・最近の録音はまあロック・ポップス系と近いから、それは素晴らしい。(パーラト。グラスパー)

・インプロ系については楽器の生音を彷彿させる生生しさ、が愉しい。(ベイリー)

・ECMについてはもともと過剰な残響が豊かになった感じで、もう辛い。ケルン・コンサートは残響の解像度が上がったような奇妙な感じ。ただしECMでもNew series系は、もともと残響は控え目なので聴いていて愉しい。ライヒとかメルディス・モンク。

・RVG系とか古い録音は限られたダイナミックレンジで囲われている感じで、あまり変化なし。ただしコロンビアのモンクはより鮮明な音になる感じで、自然なイコライズを行っている盤は音が豊かになっている。

 

さて、折角のシステムなのでDSDを聴きたくなった。SWは付属のAudiogate。最近気になっているHigh resolutionでの音源サプライヤHDTT(High Definition Tape Transfer)からドルフィーのラスト・デイトのDSD音源を購入。全体で5GBを越える、CDの10倍の容量。

Eric Dolphy – Last Datewww.highdeftapetransfers.com

結論的に云うと、別の世界。ディジタルの音場で飛翔するEric DolphyのLast Dateを聴いた。実はオリジナルのモノラル音源(Fontana盤)を持っている:

CD音源と比較したとき、その音圧と鮮やかさに驚いた。今でも愛聴盤だ。

さてHDTTのDSD音源はテープをフラットに展開したような、自然な音。イコライズされた高音が伸び、背景雑音が消え広く空間がキャプチャされる。モノラルであるが、不自然さは微塵もない。今まではドルフィーの音に若干のプラスのバイアスがかかった感じであったが、背景の他の楽器も解き放たれている。ただし問題もある。テープをフラットに展開したような音なので、高域での跳ね上がりのような歪が気になる。特にドラムのシンバル音。これは自分でイコライズしてポジションを決めたほうが良さそうだ。レコード音源で施されている高域の抑制、あるいはCD音源で行われているAliasing(44.1kHz/2以上の周波数成分のカット)ほどではないにしろ、自分の聴感にあわせた高音のトーン・コントロールが必要。付属のSWでの制御(何と付属SWで実行可能のようだ)か、コントロール・アンプでのトーン・コントロールでやってみようと思う。

あー、面白いなあ。