K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Vogueのソロを聴く(1954年のThelonious Monk)

モンクのソロはどれも好きだ。ヴォーグ盤、リヴァーサイド盤、コロンビア盤そして晩年のブラック・ライオン盤、どれをとっても味わいは深く、年齢・時代の影響を全く感じない。あるのは演奏場所、楽器や本人の気分の違い、だけではなかろうか。

先日入手したのはMosaicのボックス。マイケル・カスクーナの編集盤だ。クロニカルな几帳面さと、案外の録音の地味さ(駄目なものもある)は1970年代のブルーノート発掘の頃からだ。

この盤はかなり変態的編集。初期の1954年のヴォーグ・セッションと1971年の公式盤最後のブラック・ライオン・セッションをカップリングしたもの。ほんまかいな、的なBOX。面白いのはマスタリングがルディ・ヴァン・ゲルダー。さてどうだろうか。

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聴いてみると、割とピアノの音に不満があるルディ・ヴァン・ゲルダーのマスタリング、とは思えない。バランスの良い美しい音。ブルーノートのあれ、とは随分印象が違う。ブルーノートのあれ、はライオンの好み、とも云われてもいるが。

ブラック・ライオン・セッションは原盤のクリアな美音が、少しルディ・ヴァン・ゲルダー的な中域強調に変わったように思えるが、どうだろうか。

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原盤のSwing盤や再発のVogue盤では、とても素直なそして美しく、高い圧力の音を楽しむことができる。しかし時としてピークを抑えるために不自然な音量の変化がある。ヴァン・ゲルダーのマスタリングは、それらがすっきりし、やや鮮度が落ちるものの、いい感じで鳴っている。

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あとの2枚は徳間音工と仏のブートもどき(著作権切れ狙いの)。徳間音工のものは、日本盤固有の高音抑制と原盤からの無理な高音強調が混じった変な音。仏のブートもどきは如何にもCD音源から起こしたような感じ。仕方がないよね。