うっすらと記憶している。小沢昭一のラジオ放送。親父世代、昭和一桁。猥雑な感じが嫌で、すぐ消したなあ。
平成に入って沖浦和光「幻の漂泊民・サンカ 」のなかで、著者が幼少の頃、箕面の街道筋で商家だった実家に立ち寄る旅芸人の話が印象的。街道や川筋がアジールに繋がる感覚は、昭和40年代までは子供心に染み付いていたように思うが、いつ頃に消えたのだろうか。(昭和59年の弘前・桜まつりで見た見世物小屋・蛇女が最後だったな)
バンコクにはじめて行った時、蘇ったのは、この昭和の記憶。
そんな切り捨てられた猥雑さを可視化する、そんな存在が小沢昭一の日本の放浪芸。まさに戦前から地続きの芸能をまとめた音源と証言・写真集。
今風に云うとフィールドレコーディングだけど、剥き出しの世間が詰まっていて凄い。半世紀以上前の記録だが、音場が素晴らしく生々しい。 小沢昭一と共に、失われたロバストな昭和が蘇ってくる。
それにしても萬歳をはじめとする民衆芸能のグルーヴ感がすごい。民謡だけではない、土着のグルーヴ。
同じ音源ではないが: