McCoy Tyner, Joe Henderson – Forces Of Nature (Live At Slugs') (1966, Blue Note)
A. In 'N Out (Joe Henderson) 26:44
B. We'll Be Together Again (Carl Fischer, Frankie Laine) 14:15
C. Taking Off (Henry Grimes, Jack DeJohnette, Joe Henderson, McCoy Tyner) 28:18
D1. The Believer (McCoy Tyner) 10:05
D2. Isotope (Joe Henderson) 7:03
Joe Henderson(ts), McCoy Tyner(p), Henry Grimes (b), Jack DeJohnette(ds)
Recording: Orville O'Brien
Mastering, Transfering: Matthew Lutthans
Lacquer Cut: MCL
Executive-Producer: Don Was
Producer [For Release]: Jack DeJohnette, Lydia DeJohnette, Zev Feldman
Recorded live at Slugs' Saloon in New York, NY in 1966.
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メンバー的に「聴かねばならぬ」圧が極めて強かった。Reaching forceでのタイナー、グライムスの突撃は未だに頭の中に格納されている。そこにデジョネットが加わっているのだ。ロイドのカルテットに加入した頃だろうか。このリズム・セクションを聴きたかった。勿論、ヘンダーソンも好みの奏者。コルトレーンから妙な精神性を引き去ったような、真っ直ぐなジャズ感覚でブロウする、だからタイナーとの相性も良い。演奏場所のSlugs'といえば、少し後のトリヴァーのMusic Inc.などを思い出すわけで、1970年代Jazz Loverにとって期待感は相当なものである。
まずはBlue Noteのホームページから:
https://www.bluenote.com/mccoy-tyner-joe-henderson-forces-of-nature-live-at-slugs/
フレディ・ハバードの『The Night of the Cookers』、チャールズ・トリヴァーの『Music Inc.』、アリス・コルトレーンの『Journey to Satchidananda』など、1960年代のジャズ・アルバムの名盤を録音した伝説のエンジニア、オーヴィル・オブライエンによって録音されたこのテープは、デジョネットの個人的なアーカイブとして60年近く保管されてきた。 この2枚組LP180gレコードは、オリジナルのテープ・リールから移され、マスタリング・ラボのマシュー・ルータンスによってマスタリングされた。
Jack DeJohnette "...偶然にも、この組み合わせでスラッグスで演奏する機会が訪れた。 これは本当に素晴らしいものになるだろうという期待があった。 そして案の定、みんな本当に明日がないようなプレーをした。 幸運なことに、私たちはこの1週間のドキュメントを手にしている。 この録音は、ミュージシャンたちが本当に演奏し、新しいことを激しく探求し、実験していた時代と時期を象徴している。 当時は非常にクリエイティブな時代だった。 ミュージシャンはいろいろなことに挑戦していたし、スラッグスのように実際に演奏して技術を磨くことができる場所もあった。 そこで演奏し、発展させることができるバンドもあった。 その頃、音楽界はより探求的な音楽へとシフトしていた。 だから、そのような環境が探求を促したんだ」
驚いたことに、デジョネットの私蔵テープ。録音は多くのStrata Eastの録音を行ったOrville O'Brienだそうだ。これはデジョネットのシリーズ第一弾らしいので、今後に期待。
レコードで聴くと、状態が良い、とも思われない音源なのだけど(音の細部が摩耗したような感じ)、これが何となく全体で迫力がある音源に仕立てられている。昔の良質なBootレコード(大体が放送音源)並か、それ以上。とても好感がもてる仕上がり。実は先日のエヴァンスの発掘盤(これも良かった)と同じマスタリングMatthew Lutthansで、ラッカー盤のカットは MCL:
演奏だけど、高いテンションでブロウするヘンダンソーンとデジョネットのパルス状打音が圧巻。勿論、タイナーとグライムスも走る。タイナーがややオフ気味なのが惜しいが、案外気にならない。
だからヘンダーソンが速いスピードでブロウする曲が良い。AとC。
精神性なんて妙なコトバが介在しない、1960年代前半のコルトレーン・カルテットのライヴ(ブートが良い)に通じる、前に音を押し出す迫力そのものが説得力といった演奏には、痺れる外ない。