K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Kenny Barron: Imo Live (1982) 音の強さ、に押し切られた

Secondary, 2 of 7

Kenny Barron: Imo Live (1982, Whynot)
A1. And Then Again (Kenny Barron)12:08
A2. Manha Do Carnaval (Black Orpheus) (A. Maria, F. Llenas, L. Bonfa) 14:20
B1. Rhythm A Ning (T. Monk) 14:17
B2. Someday My Prince Will Come (F. Churchill, L. Morey) 13:43
 Kenny Barron(p), Buster Williams(b), Ben Riley(ds)
Coordinator [Production] : Ken Inaoka, Masa Marumo
Producer: 悠雅彦
Recording: 及川公生
Recorded Live at IMO HOUSE, Tokyo, June 9, 1982
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悠雅彦プロデュースの名レーベルWHYNOTの最後のアルバム、18枚目。

ケニー・バロンは1990年代に好きなアルバムがあるが、そんなに強い印象を与えるピアノ奏者じゃないと思う。日本人好みのハンク・ジョーンズやトミー・フラナガンと同じような名脇役の印象で、彼らよりも個性が薄いような感じ。

実は生で2回聴いているようだが(ケンブリッジ1回、金沢1回)、どうも記憶が薄い(ブログに書いておくものだ):

そんなケニー・バロンの認識を吹き飛ばすアルバムが、「いもはうす」でのライヴ。とにかく音の密度が濃く、また及川公生の録音が素晴らしくピアノの音が粒立っている。音響装置が素晴らしく鳴っている。

手数の多く早い演奏、そして力強い。要はそれだけなのだけど、並のピアノ・トリオの水準を越える押しの強さに圧倒される。音の強さ、に押し切られた。そんな演奏を聞くのは久しぶりだな。いや、やられたなあ。

ところでWHYNOT LABELってIndia Navigationと地続きの印象があったのだけど、まさかド直球のバップがあるとは!


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IMO ライブ

IMO ライブ

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Wayne Shorter: Moto Grosso Feio (1970) 発売に至らなかった、には納得

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Wayne Shorter: Moto Grosso Feio (1970, Blue Note)
A1. Moto Grosso Feio(Wayne Shorter) 12:25
A2.Montezuma(Wayne Shorter) 7:50
B1. Antiqua(Wayne Shorter) 5:20
B2. Vera Cruz (Milton Nascimento) 5:05
B3. Iska (Wayne Shorter) 11:20
 Wayne Shorter(ts, ss), John McLaughlin(g), Ron Carter(cello, b), Dave Holland(b),  Chick Corea(Marimba, ds, perc), Michelin Prell(ds, perc)
 Producer    Duke Pearson
Released    August 1974
Recorded    April 3, 1970, or August 26, 1970
Engineer: Tony May
Studio    A&R Studios, New York City
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Blue Note時代のショーターに穴があったので入手。Oddyssey of Iskaの後に入手:

1971年録音のWeather Reportの前年の収録で、やはり過渡期的な音が収められている。習作っぽくて、まとまりがあまりない。Oddyssey of Iskaと同日収録の曲もあり、後年(1974年)に発売された未発表テイク集の体。だから、まとまった印象なないなあ。やはり発売に至らなかった、には納得。

基本的にはOddyssey of Iska同様、漂うようなリズムの上でのショーターのソロ。

 

 

モト・グロッソ・フェイオ

モト・グロッソ・フェイオ

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Thelonious Monk: 1961 European Tour, Vol. 1 (1961) まあ代わり映えする訳でもないが

Thelonious Monk Quartet-1961 European Tour Vol 1-Ingo 5-ITALY | eBay

Thelonious Monk: 1961 European Tour, Vol. 1 (1961, Ingo)
A1. I'm Getting Sentimental Over You (Bassman, Washington) 9:40
A2. Jackie-ing (T. Monk) 7:07
B1. Crepuscule With Nellie (T. Monk) 3:07
B2. Round About Midnight (Williams, Monk) 8:00
B3. Blue Monk (T. Monk) 9:25
Thelonious Monk(p), Charlie Rouse(ts), John Ore(b), Frankie Dunlop(ds)
Live recording in concert. Bern (Switzerland) May 10th, 1961
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随分前に買ったモンクのBOOT。最近気がついたのは、昔のBOOTのレコード盤は音質面で、最近の発掘盤よりも満足できること、が多いこと。だから安い盤があったら、つい手が出る。1961年の欧州ツアーでの録音は随分あって、どれも代わり映えはしないが、間違いなくモンクのピアノがピークを迎えた瞬間のライヴ、面白くない訳がない。

これはスイスでの録音。1961年の欧州ツアーを続けて聴こうかな。

 

沢田穣治: Contra Banda (2022) 1990年頃にパット・メセニーに求めていたのは

沢田穣治: Contra Banda (2022, Unknown Silence)
1. Life is fleeting dream (沢田穣治)
2. Strange landscape (沢田穣治)
3. Sorane (沢田穣治)
4. Yukiakari (沢田穣治)
5. Contra Banda #1 (沢田穣治)
6. Contra Banda #2 (沢田穣治)
7. Monochrome (沢田穣治)
沢田穣治(b), 望月慎一郎(p), 馬場孝喜(g), 池長一美(ds)
城戸夕果 (fl on 3, 7)

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もう記憶も定かではないが、1990年頃にパット・メセニーに求めていたのは、こんな感じの音だったような記憶がある。室内楽的な造り、なのだけど、そのスタイルや音色のダイナミックレンジは、クラシック的なレンジを遥かに超えて、様々な色彩を聴き手の内面に描き出す。secret storyあたりが頂点、だろうか。

このアルバムを聴いていて、そんな記憶が手繰り寄せられる感覚が面白かった。馬場孝喜のギターの音色の変化とともに、いろいろな場所に連れて行かれる感じ、であり、それでいて統一感のある音が心地よい、ジャズでありジャズでもない音。

城戸夕果 のフルートが入った最後の曲、がとても気に入った。いつまでも聴いていたい。

 

Contra Banda

Contra Banda

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今朝のレコード(Meditationsからの届きもの)

Meditationsからのメイルを読むと、スッとサイトに引っ張られ、熟考なく購入してしまう。店頭ジャケット買い、に近い。環境音楽的なものが多いので、入着後に放置していると??なレコードが増えている感じになる。

これらもそう。

笹久保盤には、ゲンデルやキンテイロがゲストで。

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野中盤には清水靖晃が。
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Rudolph Johnson: The Second Coming (1972)  今朝の私向けSpotifyの選盤

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Rudolph Johnson: The Second Coming (1972, Black Jazz Records)
1. The Traveler (R. Johnson) 6:41
2. Time And Space (R. Johnson) 7:18
3. The Highest Pleasure (R. Johnson) 7:39
4. The Water Bearer (K. Lightsey) 6:42
5. The Second Coming (R. Johnson) 8:56
Rudolph Johnson(ts), Kirk Lightsey(p), Kent L. Brinkley(b), Douglas J. Sides(ds)
Producer: Gene Russell
Recording: Hollywood Spectrum, Los Angeles

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再発シリーズで揃えたBlack Jazzのレコードだけど、聴くことができていない:

(まあ、そんなもんだ)

今朝、Spotifyの選曲ならぬ選盤一覧がビリー・ハーパーやら、このアルバム。癖を聴き込んだspotifyの選盤能力は恐ろしい。聴いてみると、気分にピッタリではないか。参ったな。

1980年頃には話題にもなっていなかったBlack Jazzだけど、西海岸のレーベル。聴くと初期のMuse、つまり1960年代末のPrestigeを引き継いだような新主流派のような音、と同じ流れ。良い盤はなかなかの当たり、のようだ。Museあたりと違うのは奏者の知名度、のようだ。

Rudolph Johnsonは独wiki ( Rudolph Johnson – Wikipedia )によると、

Rudolph Johnson (Rudolph "Rudy" Johnson Jr, 1940年-2007年8月19日)は、アメリカのジャズミュージシャン(テナーサックス、フルート、作曲)である。オハイオ州出身のジョンソンは、1960年代初頭にカーク・ライトシー、セシル・マクビーとの短期間のトリオに参加したが、この時の録音は残っていない。 その後、オルガニストのジミー・マグリフのバンドで経験を積み、アメリカ西海岸に定住するようになった。そこで、バニオンズ・ブラッドフォード・フューネラル&マーチングバンド(ジョージ・ボハノン、ジョー・ヘンダーソン、ウォルター・ビショップ・ジュニアを含む)、チェスター・トンプソン(パワーハウス)と演奏しました。ジョン・バーンズ(ピアノ)、レジー・ジョンソン(ベース)、レイモンド・パウンズ(ドラムス)と録音したデビュー・アルバム『スプリング・レイン』は、1972年にロサンゼルスのインディーズ・レーベル、ブラック・ジャズ・レコードからリリースされ、後に「カルト」とみなされた。 1973年にはカーク・ライトジー、ケント・ブリンクレー、ダグ・シデスと『セカンド・カミング』を録音している。

デトロイト生まれのポップシンガー、ラブレス・ワトキンスは、当時頻繁に南アフリカをツアーしていたが、1974年の南アフリカツアーに同行するジャズビッグバンドを雇った。カーク・ライトシー、ジョンソンに加え、マスターサウンズのベーシスト、モンク・モンゴメリー、マーシャル・ロイヤルなどが参加している。ツアーは大成功を収め、休止期間中にワトキンスのメンバーは独立して3枚のアルバムを録音することができたが、そのうちの1枚がライトシーとジョンソンの指揮で作られたギャロ・レーベルからリリースされたLP『Habiba』である。

とのこと。

このアルバムは、ファラオ・サンダースから過度のケレン味を抜いた感じで、とても良い。聴いていて気がついたのは1970年代の好きな日本のテナー奏者と味わいがとても煮ているのだ。post-Coltraneの典型的な演奏なんだろうな。そこから、粘っこい情念を少し落としたスムーズな感じ。今になって、再発される理由が何となく分かる。

今や飲食店でハード・バップがかかるのだけど、コレも同じノリでありなんだろうな。

Amazon Music Unlimited - Rudolph Johnson 『The Second Coming』

ザ・セカンド・カミング

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Wayne Shorter: Odyssey Of Iska (1970) 「ほぼWR状態」のソロを存分に堪能できる

Amazon | Odyssey of Iska | Shorter, Wayne | モダンジャズ | ミュージック

Wayne Shorter: Odyssey Of Iska (1970, Blue Note)
A1. Wind (W. Shorte) 8:00
A2. Storm (W. Shorte) 8:22
A3. Calm (W. Shorte) 3:25
B1. De Pois Do Amor, O Vazio (After Love, Emptiness) (R. C. Thomas) 11:40
B2. Joy (W. Shorte) 9:00
Wayne Shorter(ts,ss), Dave Friedman(vib, marinba), Gene Bertoncini(g), Cecil McBee, Ron Carter(b), Al Mouzon, Billy Hart(ds). Frank Cuomo(perc, ds)
Producer: Duke Pearson
Recorded at the A&R Studios, New York City on August 26, 1970.
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どうもライオン後のBlue Noteに興味が持てなくて、見逃してきたレコード。

聴いてみて分かるのだけど、それは大きな間違い。1年後のWeather Reportの前哨戦的なアルバムであり、かつショーターのアルバムであるが故に、「ほぼWR状態」のソロを存分に堪能できる。そんな素晴らしいアルバムを手にしていなかった、のは悔しい。

編成は大きいが、群として浮遊し続けていて、また録音もショーターの背後でややOFF気味。ショーターの管の音色を楽しむためにある、WRで感じるストレスが全くない、アルバムなのだ。そしてショターの「神秘指向」が、地上からから天空へと飛翔した瞬間の音を捉えたドキュメンタリー、となっている。

レーベルはBlue Noteであるが、録音は既にRudy Van Gelderではなく、WRでのColumbia盤に通じる開放された音、になっている。初期ECMだと云われれば、信じたかも、である。

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オデッセイ・オブ・イスカ

オデッセイ・オブ・イスカ

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Marty Holoubek: Trio III (2022) 言葉で言い尽くせない何か、を自分の内面から喚起する、そんな力を持ったアルバム

TRIO III

Marty Holoubek: Trio III (2022, Apollo sounds/Jet set)
1. Opening (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
2. Part I (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
3. Part II (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
4. Part III (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
5. Part IV (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
6. Part V (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
7. Closing (feat. Eiko Ishibashi & Tatsuhisa Yamamoto)
Marty Holoubek(b), 石橋英子(p), 山本達久 (ds)
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久しぶりに、聴きながらドキドキする音に出会えた。一音一音の粒立ちが凄い。録音という側面からもそうだし、演奏という側面からも。言葉で言い尽くせない何か、を自分の内面から喚起する、そんな力を持ったアルバムに出会った。

マーティー・ホロベックははじめて聴く。オーストラリア出身。周縁である日本からみた周縁、というのがボクの世代の感覚だろうが、パプア・ニューギニアの奏者が出る時代なのだから、そんな空間の捉え方は時代遅れなんだろうな。

そのマーティー・ホロベックの音は見事に伝統的なジャズのベース・ソロの音で、低音をゆったりと巡っている。そこがまず気持ち良い。石橋英子と山本達久の音は双子のように、扱う楽器が異なれど、環境音のような、でもそうではない騙し絵のような音を流し続け、気がつくと空間を透明な何かで覆い尽くしている。惹き込まれた瞬間に、また強い引き波のように空間の特異点から消失していく。ジャズの語法ではない、融解した環境音のような塊と、ジャズ・ベースの調和と競合が怖ろしく聴く快感を呼び覚ます。

石橋英子や山本達久の音もかなり好きなのだけど、少し物足りない感じ、がある。何だろう、と思っていたのだけど、このアルバムが答え。完全なピースが揃ったような快感。新年のNHKのライヴで、松丸・石橋が凄く良かった、それと同じ理由。非ジャス・ジャズの境界が解ける瞬間の快感、というか。

多分、ECMの縁戚の音、なのだろうが、その先、随分遠くへ進化している。アイヒャーが残響というelectronicsで表現した空間を、すべて緻密に構成し、細密画のように表現され尽くしている。解像度が全く違うのだ、演奏も録音も。

音を聴くことが好きなのだけど、その時々で好きな音が揺らいでいて、うまく当て込むことに難渋することに疲れているように思える。だから最近は聴くことに苦痛を感じることがある。だけど、こんな音にヤラれるものだから、また探すのだよな、気持ちの良い音。 

 

Antonio Carlos Jobim: Live At Minas (1981) たまにジョビンを思い出す

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Antonio Carlos Jobim: Live At Minas (1981, DRG Records)
1. Desafinado (Antonio Carlos Jobim, Newton Mendonça) 5:16
2. Samba De Uma Nota Só (Antonio Carlos Jobim, Newton Mendonça) 3:57
3. Por Causa De Você (Antonio Carlos Jobim, Dolores Duran) 2:23
4. Estrada Do Sol (Antonio Carlos Jobim, Dolores Duran) 4:27
5. Se Todos Fossem Iguals A Você (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 3:00
6. Água De Beber (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 2:57
7. Eu Não Existo Sem Você (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 2:35
8. Eu Sei Que Vou Te Amar (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 2:07
9. Modinha (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 2:16
10. Chega De Saudade (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 2:45) 
11. Dindi (Aloysio De Oliveira, Antonio Carlos Jobim) 2:53
12. Eu Preciso De Você (Aloysio De Oliveira, Antonio Carlos Jobim) 2:18
13. Retrato Em Branco E Preto (Antonio Carlos Jobim, Chico Buarque) 3:34
14. Corcovado (Antonio Carlos Jobim) 2:56
15. Ligia (Antonio Carlos Jobim) 3:19
16. Falando De Amor (Antonio Carlos Jobim) 3:45
17. Água De Março (Antonio Carlos Jobim) 4:00
18. Garota De Ipanema (Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Moraes) 1:50

Antonio Carlos Jobim(p, vo)
Recording: Fundação De Educação Artística, Belo Horizonte
Producer: Paulo Jobim
Gravado ao vivo na Grande Teatro do Palácio das Artes, Belo Horizonte, em 15 de Março de 1981.
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たまにジョビンを思い出す。冬には思い出さない。夏にだけ。

ジョビンの録音というと、真っ先にゲッツとのアルバムを思い出すが、その後の米A&M製作のものは、当時の米ポップスの加飾、のような音がどうも気に食わない。スーパーマーケットのBGMかテレビの天気予報のように聴こえてしまう、のだ。

例外的に良いのが、1986年の日比谷公会堂での公演:

この公演の映像が記憶に残っていて、夏、と分かち難い感覚があるのだと思う。唄は夏っぽくない、と思えるのだけど。ファミリーバンドでの演奏でほのぼの。ジョビンの素朴な唄が柔らかくて愉しい。この公演はレーザーディスクで持っているが、最近はBootでCDが出ているようだ。

さて、このミナスでのライヴも似たようなほのぼのとしたライヴ。ジョビンのピアノ弾き語り。なんかボサノヴァの原点のようなものを、しみじみ聴くことができる。ジョアン・ジルベルトのような鋭さはないのだけど、なんだろうね、この包容力は。

 

Live at Minas

 

Paul Bley: Bremen '66 (1966) Hi Hatのブートレグをレコードで買う意味はあるか?

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Paul Bley: Bremen '66 (1966, Hi hat==>Sowing Records)
1. New Love (Paul Bley)
2. Closer (Carla Bley)
3. Sweet & Lovely (Arnheim / Tobias / Lemare)
4. Mazatlan (Paul Bley)
5. Ida Lupino (Carla Bley)
Paul Bley (p), Mark Levinson (b), Barry Altschul (ds)

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Hi Hatのブートレグをレコードで買う意味はあるか?

もちろん、皆無、だと思う。

だけど、あっても良いのでは、と思ってしまった。

確かに針を下ろすと、あっても良かった、と思えるのだ。確証は全くないのだけど、買いのレコード。公式盤より演奏が良いのだ。

Bremen 66 [Analog]

Bremen 66 [Analog]

  • アーティスト:Paul Bley
  • Sowing Records
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[2019-10-19]

これはお馴染みHi Hatの放送音源。Streamingで聴くことができるので、買うこともないのだけど、もしも流れなくなったら、と考えたら入手したほうが、という論理で購入。1966年のブレイはすこぶる美味いので、しっかり入手したいのだ。

1950年代のバップ奏者からアヴァンギャルド方向への遷移、その「配合率」のようなものを試していた時期なんだろう。案外保守的ではあるのだけど、曲が新しい時代の新しい匂い、のようなものを孕んでいて、その印象は終生。ブレイの魅力の萌芽が全て詰まっているような愉しさ、を感じる。

音もまずまず。同時期の蘭ハレムの演奏より好きだな。

Bremen '66

Bremen '66

 

 

Milestone以降のMcCoy TynerのDiscography (そこに何か足りないものを)

やはりマッコイ・タイナーについてはImpulse!の諸作が良くて、blue note移籍後は早い時期のアルバムが良い、と思っている。The real McCoyあたりがひとつのピークではなかろうか。 

Blue Note後半も悪くはないが、Milestone時代以降につらなる大きなワン・パターンのなかにある。悪くはないが、どれも同じに聴こえる、ような。

そう思ったのは割と早い時期で、トリオレコードから出たエルヴィンとの再会セッション、これが面白くなかったから:

その後も、新生?Impulse!から出たDavid MurrayとのBlues for Coltrane(1987)を聴いたが、やはり響かなかったな。

結局、デビューから10年ちょっとがピークなのか、と思っている。そしてMilestone時代が余韻で人気。日本の団塊世代ジャズピアニストには大きな影響を与えているのは周知の事実。それでも1970年代の最後にはあまり話題になっていなかった記憶がある。

だから中古レコード屋での価格(発売時と現在の人気ギャップを表す)は、リッチー・コールに次ぐ安値であるように思う。

かなり辛口に書いたが、決して低水準の演奏ではない。良質のアルバム群である。しかし、そこに何か足りないものを感じてしまうのだ。

[CD] Sahara    1972    Milestone    1972    
[日LP]Song for My Lady    1972    Milestone    1973    
Echoes of a Friend    1972    JVC, Milestone    1972    
Song of the New World    1973    Milestone    1973    
Enlightenment    1973    Milestone    1973    2LP
Sama Layuca    1974    Milestone    1974    
[CD] Atlantis    1974    Milestone    1975    live
[LP]Trident    1975    Milestone    1975    
Fly with the Wind    1976    Milestone    1976    
Focal Point    1976    Milestone    1976    
[LP]Supertrios    1977    Milestone    1977    
[LP]Inner Voices    1977    Milestone    1977    
[LP]The Greeting    1978    Milestone    1978    live
Passion Dance    1978    Milestone    1978    live
Counterpoints: Live in Tokyo    1978    Milestone    2004    live
Together    1978    Milestone    1979    
[CD] Horizon    1979    Milestone    1980    
[LP]Quartets 4 X 4    1980    Milestone    1980    
13th House    1980    Milestone    1981    
La Leyenda de La Hora    1981    Columbia    1981    
Looking Out    1982    Columbia    1982    
[LP]Love & Peace (with Elvin Jones also released as Reunited)    1982    Trio (Japan)    1982    
Dimensions    1983    Elektra    1984    
It's About Time (with Jackie McLean)    1985    Blue Note    1985    
Just Feelin'    1985    Palo Alto    1985    
Double Trios    1986    Denon    1986    
Major Changes (with Frank Morgan)    1987    Blue Note    1987    
[日LP]Bon Voyage    1987    Timeless    1987 ==>   Alfa
[CD] Blues for Coltrane: A Tribute to John Coltrane    1987    Impulse!    1987    
Live at the Musicians Exchange Cafe (also released as What's New?, The Real McCoy, and Hip Toe)    1987    Who's Who in Jazz    1988    live
Revelations    1988    Blue Note    1989    live
Uptown/Downtown    1988    Milestone    1989    live
[CD] Live at Sweet Basil    1989    Paddle Wheel    1989    live
[CD] Live at Sweet Basil Vol.2    1989    Paddle Wheel    1990    live
Things Aint What They Used to Be    1989    Blue Note    1990    live
[CD] One on One (with Stéphane Grappelli)    1990    Milestone    1990    
Blue Bossa    1991    Milestone    1991    
Autumn Mood    1991    Laserlight    1997    
Soliloquy    1991    Blue Note    1991    
Remembering John    1991    Enja    1991    
New York Reunion    1991    Chesky    1991    
44th Street Suite    1991    Red Baron    1991    
Solar: Live at Sweet Basil    1991    Alfa    1991    live
Key of Soul    1991    Alfa/Sweet Basil    1992    live
Live in Warsaw (also released as Warsaw Concert 1991, At the Warsaw Jamboree and Beautiful Love)    1991    Who's Who in Jazz    1991    live
The Turning Point    1991    Birdology    1992    
Journey    1993    Birdology    1993    
Manhattan Moods (with Bobby Hutcherson)    1993    Blue Note    1994    
Prelude and Sonata    1994    Milestone    1995    
Infinity    1995    Impulse!    1995    
What the World Needs Now: The Music of Burt Bacharach    1996    Impulse!    1997    
[CD] McCoy Tyner Plays John Coltrane: Live at the Village Vanguard    1997    Impulse!    2001    live
McCoy Tyner and the Latin All-Stars    1998    Telarc    1999    
[CD] McCoy Tyner with Stanley Clarke and Al Foster    1999    Telarc    2000    
Jazz Roots    2000    Telarc    2000    
Land of Giants    2002    Telarc    2003    
Illuminations    2003    Telarc    2004    
Quartet    2006    McCoy Tyner Music    2007    live
Guitars    2006    McCoy Tyner Music    2008    
Solo: Live from San Francisco    2007    McCoy Tyner Music    2009    live

Blue Noteのキング盤とUA盤RVG刻印を聴き比べる

左がキング盤で1979年頃に購入、右がUA盤で青白・RVG刻印。1971年のもの。

キング盤とUA盤RVG刻印を聴き比べた。フォノイコライザのセッティングは変えている。

1970年代末、レコード蒐集をはじめた頃、円高もあり米からの輸入盤は格安だった。しかしながら、ヴェトナム戦争からの疲弊で経済状況は悪かった時代であったように思う。だから、 1970年代初頭と比べ、レコード盤はペラペラ、ジャケットは質の良くない薄いボール紙に印刷されたジャケットを貼り付けた体裁。だから盤質、ジャケットともに良好な日本盤を意識的に買っていた、と思う。

しかし、ある時期に気がついたのは、音の迫力というか瞬間的な跳ね上がり、のようなものが米盤のほうが良いこと。迫力が日本盤と違うのだ。同時に、西独盤は日本盤と比べ、音の透明度が良く音溝から拾うスクラッチ雑音が小さいことに気がついた。以来、日本盤よりも米盤、西独盤を買っていた。1980年過ぎ、ではなかろうか。日本盤は総じて高音の伸びが悪く、柔らかな音になっているのだ。

 

さてマッコイ・タイナーのBlue Note盤だが、キング盤の方がダイナミックレンジ広く、ピアノの圧縮感が小さい。割と整った音がしている。日本盤固有の柔らかさが残念だが、全体のバランスは良い。これがいい、と思う人が少なからずいることが理解できた。

それでもRVG盤の魅力?魔力は、あの強い圧縮感なんだろうな。それに加え、米盤固有の抜けの良さ、のようなものが良い。同じUA盤であっても、後年の「音符レーベル」の頃(1970年代後半)に比べると、ジャケットの質感、盤質ともに、オリジナルに準じる。ソロが交代するときの、音が飛び出る感じの愉しさは、やはり米盤のほうが強いように思った。

 

山下洋輔: Dancing 古事記(1969) 先日の早稲田大学でのイベントを観て、再び聴く

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山下洋輔: Dancing 古事記(1969, 麿レコード)
A1. アジテーション 0:50
A2. テーマ 15:42
B1. 木喰 17:07
山下洋輔(p), 中村誠一(ss), 森山威男(ds)
1969年7月 早稲田大学で録音

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先日の早稲田大学でのイベント「村上春樹Presents 山下洋輔トリオ 再乱入ライブ」をオンラインで観て、再びレコード聴いてみる。はじめて聴いたのはCD再発、立松和平絡みの分厚い冊子付き、で、15年ほど前かな。浅川マキの企画モノ同様、過剰な時代のコンテクスト、が気になって仕方がない(駄目な意味で)。そんなものを剥いでしまうと、後年の山下洋輔トリオと変わらぬ姿があり、だから1980年頃に自壊させていくのだろう。そりゃ、演っているほうも飽きるだろう。

今回改めて気がついたのは、未完成の森山威男。あの正確無比なパルス状の打音、ではないのだ。わずか二ヶ月後のコンサートと、そこが大きく違っていて、激しい飛躍の中にあった、という意味で、貴重なドキュメントなのだ。

 

[2017-04-07] そんな時代臭なんかと関係なく

 山下洋輔の初リーダ作で、大駱駝艦の麿赤兒による自主制作。1969年7月、バリケード封鎖された早稲田大学構内での演奏。同日の演奏は、田原総一郎がドキュメンタリーの形で放送している。懐かしいアジ演説も入った、時代の臭い(匂いでなくて)溢れる盤。ボクの母校では、1980年過ぎまで大学封鎖をやったりしていたので、何とも懐かしくも、アホくさいのである。

このアルバムについては1987年頃、麿赤兒がジャズ批評で語っているのを読んで聴きたくなったが、見たこともなかった。だから10年くらい前にCDで再発されたときは飛びついた。これは音楽の記録というより、時代の記録という側面があって、CDよりも分厚い冊子が面白かった。浅川マキ本とか、阿部薫本と同じような時代臭がアレなんだが。

そんな時代臭なんかと関係なく、演奏は見事なほどに、後年と全く変わらない山下洋輔トリオそのもの。1969年時点で不動のスタイル。森山威男の鋭いパルスの上でピアノが高速でドライヴし、サックスが吠える。意外と(失礼)良かったのは中村誠一のサックスで、鳴りが美しい。破壊的な音を出している訳ではなく、実に綺麗に鳴らしている。つい何回も聴き入ってしまった。

また麿赤兒によるレコードの造りも凝ったもの。ライナーノートは立松和平の小説「今も時だ」の引用。文章は読んで恥ずかしい感じではあるが。レーベルも丁寧な仕事。

追記:

実はこのレコードはオークションで高頻度で出品されていて、珍しいものではない。1000枚くらいのプレスかなあ。しかし価格的には手を出し辛いゾーンで見送ってきた。今回はそれに比べると1/3くらいの価格で、納得のいくものであった。

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John Tilbury: Terry Riley/Keyboard Studies (1980s) 仕事場でゆったりとした気持ちで聴くための

John Tilbury: Terry Riley/Keyboard Studies (1980s, Another Timbre)
1. Keyboard Study #1 17:52
2. Keyboard Study #2 30:57
3. Dorian Reeds 23:49
4. Extract from 'Keyboard Study #1' FOR STREAMING ONLY 10:03
5. Extract from 'Keyboard Study #2' FOR STREAMING ONLY 05:29
Archive recordings of Terry Riley's two 'Keyboard Studies' and 'Dorian Reeds' performed by John Tilbury
John Tilbury: piano, organ, harpsichord, celeste

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現在、日本に滞在?しているテリー・ライリーのKeyboard Studiesを、ジョン・ティルベリーが弾いている。ミニマルの曲なのだけど、ライヒのように強い強度で音の変曲点を浮かび上がらせるのではなく、緩い音の流れが緩く変質していくような、そんな感じ。

だから、仕事場でゆったりとした気持ちで聴くための音楽、になっている。

 

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