K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Pat Martino: We'll be together again

Pat Martino:  We'll be together again (1976, Muse)
   1. Open Road: Olee/Variations and Song/Open Road  
   2. Lament
   3. We'll Be Together Again
   4. You Don't Know What Love Is
   5. Dreamsville
   6. Send In The Clowns
   7. Willow Weep For Me
Pat Martino (g), Gil Gold Stein(el-p)
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今朝、なんとなく聴いているのはパット・マルティーノのWe'll be together again。70年代中盤のフュージョン(クロシオーヴァーと云われてたけど)隆盛の頃に、そっと奏でられたギル・ゴールドスタイン(案外好きな奏者)のフェンダー・ローズとのデュオ。

パット・マルティーノというと,高速の指さばきで正確に刻みあげ、畳み込むようなプレイ。だから音の洪水のなかで押し寄せる昂奮に身を任せるような快感がある。そして、それを求めて聴いているようなトコロがある。だけど、このアルバムは音数が少なく、音と音との隙間に気持ちを込めるような、マルティーノらしからぬ感じ。しかし、ジム・ホールのように洒脱になるわけでも、ケニー・バレルのようにブルージーになる訳でもない。時として早く刻みつける音で弾みをつけて浮かび上がったり、音と音の行間で深く深く沈んでみたり、そのような状態遷移をゆっくりと繰り返している。ゴールドスタインのやはり音数が少なめのフェンダー・ローズとあわせた、浮遊大会のような趣。とても好きだ。

それにしても、このアルバムの暫く後に、マルティーノは脳の疾患ですべての記憶、ギターのことまで、を忘れたそうだ。その後の奇跡的な復活は凄い。同時に、そのような状態から目覚めたときの感触はどのようなものだったのだろうか、と気になってしまう。長い長い、そして浅い夢から覚めたような感触なのだろうか。We'll be together again という示唆的なタイトルなのだけど、ゴールドスタインとはその後共演しているのだろうか。そんなことも気になってしまった。


Pat Martino - We'll Be Together Again