K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

C.Haden, J.Garbarek, E.Gismonti: Magico(1979) LPレコードが再び聴けるようになったから

Charlie Haden, Jan Garbarek, Egberto Gismonti: Magico(1979,ECM)
   A1. Bailarina
   A2. Magico
   B1. Silence
   B2. Spor
   B3. Palhaco
Charlie Haden(b), Jan Garbarek(sax), Egberto Gismonti(g,p)

 LPレコード・プレーヤーを買い直した。同じ機械。ダスト・カヴァーが割れた安価な中古を手に入れて、ダスト・カヴァーを交換。また何年かしたら、何かを交換する必要があるだろう。

 LPレコードが再び聴けるようになったから、割とECMの録音を聴いている。30年前に手にしたもの、最近手にしたもの、西独時代のプレスが中心。あの緑色のレーベル、艶やかな盤面、つるっとしたジャケット。

 雪の日々にはいった金澤なのだけど、そんな日に聴いてみたいと思ったのはジスモンチやタウナーのギター。独り聴くには冷ややかな音色が肌に馴染むような感じ。打ち込むようなヘイデンのベースも、そんな冬の日の気分によく合う。ボクはガルバレクのテナーが金属音のようで苦手なのだけど(最近のライヴ「ドレスデン」は気に入ったけどね)、これは音の空気感によく合っている。

 このLPレコードはB面から聴くことが多い。ヘイデンの曲Silenceが好きだから。淡々の流れる旋律が沈黙そのものを語っている。ほかのアルバムで聴いてから好きになった曲(Closenessだと思っていたのだけど、入っていなかった。何のアルバムだったのだろうか)。風が吹き、雪が流れる朝に聴いていると、今までの時間をゆっくりと遡行していく。

 30年前も、今と同じようにLPレコードを手にして、ターンテーブルにゆっくり載せた。針を下ろす。それを繰り返していた。それを横目で見ていたオヤジは今のボクより若くて、そして今はいない。針が上がると、淡々とした時間の流れ、時間の微係数って何だろうか、の感触だけが残っている。

 いつでも思うのだけど、音を聴くことは、無限領域のように感じる記憶の海に確かな栞、ブックマーク、を挟み込むような行為なんだろうな。