K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Alexander Melnikov: Shostakovich/Preludes and Fugus

Alexander Melnikov: Shostakovich/Preludes & Fugus (2010, Harmonia Mundi)

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昨日は夕暮れの頃から断続的に降る雪が積もりはじめた。つい先日までは激しい風や霰とともに雨が窓を叩いていたのだけど、雪が降り始めると風が弱まり静かになる。だから日曜日の朝をこんな感じで迎えるのは案外気持ち良いことだ。

そんな静かな雪の日曜に聴いてみたくなったのは、アレクサンドル・メルニコフが弾くショスタコーヴィッチの24の前奏曲とフーガ。この曲はリヒテルの演奏で好きになって、何人かの奏者の演奏を求めた。いつも参考にさせて頂いているクラシック音楽(ときにジャズ)のブログでこのアルバムを知って早々に求めた。

リヒテルは音の強さの不連続に魅力があると思う。微係数の強さにはっと何かが起こされることがある。ゲンリヒは音の強弱でなくて時間的なゆらぎに魅力があると思う。ゆらぎの中の深い情感。メルニコフは、とても正確に音を刻んでいる。だから揺らぐこともないし、不連続に感じることもない。だから印象がやや薄くて、何回も聴くことはなかった。

今朝ゆったりとした気持ちで聴き直すと、音の透明度がとても高くて、冷ややかな音が沸き上がりそして静まっていく。そんな美しい音の循環を聴いているとゆっくりと惹き込まれていく。無色透明のような音なのだけど淡い色彩が時に暖色をあらわし、時に寒色をあらわし、冷え込んだ部屋が薄明のなかの色彩に包まれるような感じ。

最近の録音はブレライのドビュッシー・ラヴェル集もそうだけど、本当に音の純度が素晴らしい。ただ無心に音を追いかけていても、とても気持ちが良い。メルニコフは2月末に来日公演があるみたいなので、東京まで出かけようかと思っている。亡き奏者ばかり追いかけてもねえ、と思うので。

まだまだ雪は降り積もりそう。