仕事で岡山にやってきた。最近は年に1回程度やって来る機会がある。何となく気に入っている。
岡山も終戦前の6月、激しい空襲を受け、市街地の大半を失っている。そのことが歩いていると良く分かる。区画が整った街並み、広く真っ直ぐな道。福井や富山と同じような区割りの印象。金澤に住んでいると、あの戦いで失ったものに唖然としてしまう。特に福井の街を歩いたとき、その広く真っ直ぐな道に虚ろなものを感じてしまった。
岡山を歩いていると、そのぽっかりと空に開いた街並みを歩いていると、むしろ開放的な気分となってきて愉しい。北陸と随分違うなあ、と改めて思った。瀬戸内の明るい気候・青い空もあいまり、本当に柔らかな暖かさで満ちている。何よりも活気に満ちていて、気分が少しだけ開いていくような感じ。
それにしても、岡山から金澤よりも鹿児島のほうが地勢的に近くなってしまった、という事実に改めて驚いてしまう。日本に背骨のように入った新幹線に繋がる地域と切れている地域の違いを知ってしまった。金澤に引っ込んでいる感覚は、ボクのような隠居感覚には相応しいのかもしれないけど。数年後の北陸新幹線開通が引き起こすこと、関東圏への巻き込み、は想像もつかないけど。
岡山初日は会合の後、懇親会だったけど印象なし。二日目だった昨夜は、気の合う友人達とふらふら。すっかり愉しい夜になった。
最初は岡山駅近くの鳥好。何回目かなあ。酒場らしい酒場で、迷ったときには此所に来る。大柄な感じの酒場の料理をたっぷり食べて4000円也。
歌いたいヒトを切り離して次の店に。少人数でバーに座る。Bar Lytton。この店の造りはなかなか素晴らしく、またバーテンダーの対応も街の空気と似たような柔らかさがあって、居心地がとても良い。アイラ島のモルトの後は、アイラ島のジンを頂いた。とても美味しかった。確か、金澤quinasseでも頂いたことを思いだした。
その後は、いつもの友人と次の店で合流。随分呑んでいたので、うつらうつら吞んでいるのは、とても愉しかった。
さて最後の店から岡山城近くのホテルまでの帰途が愉しかった。明るい、空に開いた街の空気は夜半の頃にも柔らかかった。路地から路地を巡って、随分と歩かなくてはいけないのだけど、小さなバーがあったり、カフェ?があったり。仄かな灯火の暖かいこと。眼がきょろきょろしてしまった。ホテル近くの商店街の裏手を歩いていたらDindiと書かれた看板がぶら下がっていた。いいセンスだなあ。そう、春の柔らかな大気のなかって、何となくボッサを聴いているような気分。だから時機にかなった名前の店が視界に飛び込んで、思わず吹き出しそうになった訳。泥酔一歩手前だったので入らなかったけどね。