いつだったか、いつも行くバーで吉田日出子の上海バンスキングの話になって、LPが出てきた。懐かしいなあ。なんか、80年代に流行ったよね。あの時代は最後の上り坂で、そんな高揚感や退廃感が、出口のない租界の街、あの時代の上海と微妙に交差していたのだと思う。地面と身体が離れ、なんか実体のない生活。ヒトは皆、直感でいつしかお仕舞が来ると分かっているyのだけど。その時まで、踊り続ける。
いつだったか、李香蘭こと山口淑子の自伝を読んでいて、終戦前後の上海での話、服部良一や野口久光が出ていた。あの租界地のジャズと戦後の歌謡曲って、そんな流れで繋がっているのだろうね。だから、澄淳子という歌手が随分前に昭和歌謡を英語・日本語ちゃんぽんで歌ったのだけど、面白いほど違和感がなかった。それも当たり前だろうね。
若い頃には歌謡曲って、どうにも馴染めなかった。気持ち悪くて。加齢とともに、耳に馴染んでくるのは驚くばかり。積極的には聴かないのだけど。そんなこともあって、気持ちがふわっとした夜なんか、こんなアルバムを思い出したりするのだ。
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澄淳子:ジャズ色・歌謡浪漫 (1995,Crown)
1. 憧れのハワイ航路
2. カスバの女
3. 星影の小径
4. さよならルンバ
5. 君待てども
6. ミネソタの卵売り
7. 港が見える丘
8. 夜霧のブルース
9. イヨマンテの夜
10. 東京の花売娘
11. 黒百合の歌
12. 星の流れに
澄淳子(vo)