K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

澄淳子:ジャズ色・歌謡浪漫 (1995) 加齢とともに


  いつだったか、いつも行くバーで吉田日出子上海バンスキングの話になって、LPが出てきた。懐かしいなあ。なんか、80年代に流行ったよね。あの時代は最後の上り坂で、そんな高揚感や退廃感が、出口のない租界の街、あの時代の上海と微妙に交差していたのだと思う。地面と身体が離れ、なんか実体のない生活。ヒトは皆、直感でいつしかお仕舞が来ると分かっているyのだけど。その時まで、踊り続ける。

 いつだったか、李香蘭こと山口淑子の自伝を読んでいて、終戦前後の上海での話、服部良一野口久光が出ていた。あの租界地のジャズと戦後の歌謡曲って、そんな流れで繋がっているのだろうね。だから、澄淳子という歌手が随分前に昭和歌謡を英語・日本語ちゃんぽんで歌ったのだけど、面白いほど違和感がなかった。それも当たり前だろうね。

  若い頃には歌謡曲って、どうにも馴染めなかった。気持ち悪くて。加齢とともに、耳に馴染んでくるのは驚くばかり。積極的には聴かないのだけど。そんなこともあって、気持ちがふわっとした夜なんか、こんなアルバムを思い出したりするのだ。

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ここで試聴できます. 

澄淳子:ジャズ色・歌謡浪漫 (1995,Crown)
   1. 憧れのハワイ航路
   2. カスバの女
   3. 星影の小径
   4. さよならルンバ
   5. 君待てども
   6. ミネソタの卵売り
   7. 港が見える丘
   8. 夜霧のブルース
   9. イヨマンテの夜
  10. 東京の花売娘
  11. 黒百合の歌
  12. 星の流れに
澄淳子(vo)