K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金澤・犀川の奥:春の残像、夏の幻視


法島の枝垂れ櫻

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春の残像、夏の幻視をみた一日だった。

 

 どうも冬の間は、忙しさとそれにも増して呑む日々でなんだか疲れていたような気がする。4月に入って、なんだか力が入らない日々が続いていた。そんな状態で櫻の時候に入って、体の実感がないままにダラシなく酔っていたように思う。

 4月も後半に入って、なんとか活気が復活しつつあるような気がする。先週は4回走って35kmくらい。特に卯辰山には2回駆け上がった。櫻が目的だったのだけど。なんだか体が切り替わっていることを感じる。そんな訳で、よく晴れた今朝は笠舞の自宅から涌波まで河岸段丘の一段めを駆け上がり、犀川縁の大桑まで降りてからJRの架橋まで走った。帰ってきて11kmの走り。

 涌波から犀川沿いでは、染井吉野はすっかり散っていた。涌波の大きな櫻も散っていた。この櫻は夏の頃の付き合い。いつも側を通ると風を吹かせてくれる。まだ花は見たことがなかった。僅かばかり花が残っていたので、暫く眺めていた。いつものように木の肌に手を当て、また夏の頃、いつかの日のように風を吹かせてくれるよう、頼んだ。

 

 枝垂れ桜は少し盛りは過ぎていたのだけど、まだまだ盛り。周りの染井吉野が散ったあと、余計に美しくみえる気がする。法島、櫻橋、新橋のあたりで枝垂れ櫻を楽しむことができた。特に法島の枝垂れ桜は樹勢も旺盛。思わぬ花見を楽しむことができた。ランニングどころじゃなくなっているけど。

 走りながら感じるのは夏の気配。犀川も水も沸き立つような匂いをあげている。陽の光も隠喩のない、あけすけな光。JRの架線橋に着く頃には汗ばんでしまった。

 夜半前、犀川の南の仕事場から、不老坂をくだって上菊橋を渡り、犀川の北の自宅への自転車を漕いでいた。幾つかの狭い辻を曲がりながら自宅近くの「くらがり坂」(金澤市内には同じ名前の坂がもう一つあるが)の下まで来た。昨日までと空気が違う。何だろう。

とても賑やかで、なにか騒々しいのだ。くらがり坂の水場の下にある田んぼまで着くと、そこで蛙が鳴き出していた。やはり、夏が駆けだしていることに気がついた。暫く冷たい風に当たりながら、見えない坂の先を眺めていた。