南から山越えの乾いた熱風が吹き込み、酷暑が続いた金沢にも短い秋がはじまった。冷たい大気の肌触りを感じはじめると、情緒不安定で、眠りもおかしい。途端に久々にクラシック、それも何故かピアノ曲が聴きたくなる。なかなか辛いところも有るのだけど、そんな気分の揺れを楽しむ余裕も少しだけでてきた。
そんな気分の契機になったウゴルスキのメシアンなのだけど、美しい音の断片が散らばって、覗き込むと万華鏡のような色彩感に溢れている。そして鏡筒を廻すように、断片が作り出す総体としての色彩が移ろう。そんな訳でウゴルスキが気になってしまった。前回の記事のコメントでyoshimiさんに教えて頂いたScriabin集は勿論の第一ターゲット。実は既にナクソスのストリーミングで聴いていて、とても気に入ってしまった。スクリャービンは、ホロヴィッツ、ネイガウス、ヴェデルニコフが気分に良く合うが、少しオドロオドロしい感もある。オグドンはタッチが強く、別の曲を聴いているよう。アムランは透明度が高く、響きが柔らかくて美しいのだけど、完全に蒸留してしまって、味わいが足りないような気がする。ウゴルスキのスクリャービンは音の透明度の高さと適度な「あの」気分が入っていて、とても惹かれるものがある。素晴らしい前奏曲とフーガ(ショスタコーヴィッチ)を聴かせてくれたメルニコフと同じような心象を与えてくれる。
このウゴルスキのスクリャービンはネットでも高価なので、まずは店頭捜索ということで昨日は御茶の水のディスクユニオン・クラシック館。結局見つからなかったのだけど、気分はそんな気分なので馬鹿みたいに買い物をしてしまった。
(1) Cyprien Katsaris: Scriabin, the complete dances
絶対スクリャビンとは合わないよなあ、と思いつつ、怖いもの見たさで手が出た。まあ、店頭買いの醍醐味のような...
(2) Oli Mustonen: Scriabin集
この人のタッチの冷たさに期待。ただプロコフエフの「束の間の幻想」では透明度が高く低温の音で聴かせたのだけど、スクリャービンの曲のあの情念はアカンやろなあ、という予感は十分あるのだけど。
(3) Lazar Berman: Scriabin集
この人も違うだろうな、って思っているのだけど好奇心・好奇心。
その他に手にしたのは、こんなアルバム
多分、アカンような気がするけど、これも好奇心。実はyoshimiさんのブログで紹介されたアラウのアルバムを探していて。
(5) Oli Mustonen:Bach%Shostakovich: 前奏曲とフーガ集(RCAのほう)
これはずっと安いモノを探していた。多分、当たり。もう一枚も手に入れなきゃ。
(6) Georges Ciziffra: Ciziffra in Tokyo 1964
ショパンとリストの曲集。来日公演ということで好奇心。
金沢のオーケストラだしね。
ちょっと甘すぎるのだけど、そんな曲を聴きたいこともあるので。第1集は気分が弱った時に良く聴いた。
あれっ、何を目的に来たのだろうか。ウゴルスキのスクリャービンはネットで安い売り出しものを見つけてしまった!