K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

岩魚の渓へ



最後に岩魚が出てきたのは8月の終わり。それからまったく岩魚は出てこなかった。
産卵の時期を迎え、どこに行ったのだろうか。岩魚が気になって、再び秋の渓流へ。
小雨交じりの朝、林道をとぼとぼ歩いた。時折、強い雨が落ちるが、気圧が上がっているようで、陰鬱な感じはなかった。

渓に入って、いつもの付き場に流してみるがアタリはない。ただ数日の雨で水量は増えていて、気分が少し出そうだった。今まで、まったくアタッたことのない、瀬にそっと流してみる。流れに乗って、岩陰に餌が流れていく。糸が張って、根掛かりしたようだ。が、暫くすると、竿先に脈動、のような感触。少し引いて当ててやると、大きく動く出した。久しぶりの岩魚の感触。引くと重く、引き抜くのは危ない。慌ててタモを出して、右往左往する糸をゆくり引く。水面の上に顔が出る。力が緩くなるのに合わせ、ゆっくり引き寄せる。すっと、大きな魚体がタモに飛び込む。
暫くはタモの中で暴れていた。大きな岩魚の感触にすっかり満足した。いや、ゆっくりと、落ち着いて対峙出来たこと、に満足したのだと思う。

雨がゆっくり上がり、青空が覗くころ、少し重いビクを腰に感じながら、林道をおりる。先日、小熊と交差した道だ。鈴を振りながら、後にした。