K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

日野元彦: TOKO at Menu in jazz (1975) 黒く白く

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 何とも時代の空気、の塊のアルバム。録音がすかっとしないのは、楽器の多くがエフェクター過多、の時代の空気そのもの。何せ、アガルタや洪水、RTFにマハヴィシュヌ、そしてミステリアス・トラヴェラーの時代なのだ。結構真っ直ぐな奏者達が、そのような「音の濁流」のなかで、やりたいことを爆発させているようなライヴ。ビートの感じも黒く白く、右往左往しているような感じ。

 屋外ジャズフェスティバル、そのものが時代の空気そのもの。そのピーク(1980年頃か)を経験したボクにも懐かしい。この演奏は午前3時。5000人の聴衆がいた、という。そんな人口密度の高い熱気、が懐かしい。合歓ジャズイン。

  A面に針を下ろすと、益田幹夫のキーボードが唸っていて攻撃的。アガルタでのマイルスのオルガンのような妖気を出しながら攻める。その裏でピート・コージーやレジー・ルーカスを独りで演ってるような渡辺香津美、刻んだり吠えたり忙しい。そのなかで泰然とビートを流す鈴木勲。この人だけは何時も変わらない。そして日野元彦は揺れるパルスを送り続ける。

 B面は渡辺香津美の曲。何となくボクのなかで、昔のTBMのアルバムでの彼とKYLYNの彼が繋がらないのだけど、これを聴くとその「つなぎ」。このアルバムでの彼を少し洗練すると、という感じ。それにしても、A面の空気はB面にも続き、熱い。この熱さ、が暑さ、に感じられる時代に生きているのかな、と思うと少し寂しい。

 森山威男や富樫雅彦のドラムは鋭角的で、音の微係数が鋭く射し込む感じなんだけど、日野元彦は鈍角的で柔らかな感じだと思う。連続した音が累算され曲全体のビートを作っていく感じ、なのだけど、このアルバムでは本当によく叩いているなあ、と感嘆。

 

合歓ジャズインのサイトを見つけた。貴重な記録。

合歓ジャズイン ネム・ジャズ・イン NEMU JAZZ INN

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日野元彦: TOKO at Menu in jazz (1975)
A. You make me so sad
B1. Olive's step
B2. Endless way
日野元彦(ds), 渡辺香津美(g), 益田幹夫(key), 鈴木勲(b)
1975年7月20日 合歓ジャズイン

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