願って来た金沢なのだけど、それが日常になると、仕事や生活への不満が出る。改めて、日々を感謝しようと思い直しているところだ。
ある朝、山に出かけた。沢は例年になく水量が多い。大雪の余波。魚が出てこない。源流域を沢通しにつめていく。
緑が眩しい。
次第に山が深くなる。
沢も次第に細くなり、残雪が見え始める。
詰めていくとスノウブリッジ。
釣果は渋く、七寸から八寸。気持ちを切り替え、別の沢に入った。融雪の濁流が流れる中、深みに餌を流すと、強い引きがあった。
泣き尺を筆頭にまずまず釣れて、嬉しかった。腹にはカエルが入っていた。もう翳りはじめる時刻だった。
自宅に帰り、綺麗に始末する。そして近所のS君のところで酒を頂く。彼らは、野芹や筍で迎えてくれた。酒を呑む。そんな田舎暮らしが愛おしい。感謝を忘れないように、と改めて思った。