K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Muhal Richard Abrams: Sightsong (1976) 美しさと強靱さ

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今朝、モントルーでのソロを聴いた後はこのアルバム。マラカイ・フェイヴァースとのデュオ。

このレコードだけが、ほぼリアルタイムに入手したもので、エイブラムスの最初の1枚。幸せな出合だ。実に美しい音であるし、また上品な美しさのなかでジャズらしいビート感がしっかりあり、極上の愉しみを与えてくれる。

 曲もいい。チコのアルバムで印象的であったTwo Over Oneを含め、どの曲も旋律が印象的で美しい。エイブラムスのピアノの印象を、上記記事で書いたのだけど、このアルバムを聴いても同じ。ピアノとベースのデュオなのだけど、並のピアノトリオ以上に迫ってくるビート感覚がある。決して表面的には打楽器的な音を出している訳ではないのだけど、打楽器としての韻律のようなものを強く持っているのだろう。美しさと強靱さの、ごく自然な溶け込みが魅力。ボクのなかでは名盤中の名盤。

録音も極めて良い、と思ったら、ECMのNY録音を行っているTony May。アイヒャーのイコライズが入らないコッチの録音が好み。実に自然な美しさを維持している。このアルバムはCAM JAZZからボックスセットで安価に再発されているが、この再マスター盤も実に録音が良い。(多分)レコードじゃなくても良いと思う。この再発シリーズの再マスター、ボックスによるバラツキはあるが、ブレイとエイブラムスは素晴らしく良い、と思う。

BILL DIXON

BILL DIXON

 

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Muhal Richard Abrams: Sightsong (1976, Black Saint)
A1. W. W. 4:57
A2. J. G. 5:35
A3. Sightsong 6:18
A4. Two Over One 6:16
B1. Way Way Way Down Yonder 5:28
B2. Panorama 5:59
B3. Unity 5:14
Richard Abrams(p), Malachi Favors(b)
Engineer: Tony May
Producer: Giacomo Pellicciotti
A1 - Dedicated to Wilbur Ware
A2 - Dedicated to Johnny Griffin
B3 - Dedicated to the A.A.C.M.
Recorded October 13-14/1975 at Generation Sound Studios, New York.

www.discogs.com