今年の3月、はじめて行ったCAFE INCUSで聴かせて頂き、うーん、となったアルバム。要は聴いたことがないジャンルを聴いた、ということ。1960年代以前(正確には1967年以前だな)の米国以外のジャズは聴かなくてもいいかな、と思っていたが、間違いだった。
ECMとも共通する室内楽的な、という感じではない。1960年代のブレイ周辺のほうが、よほどECM的だ(そりゃ源流だからね)。ジャズの形を取りながら、現代音楽的な硬質の音を典雅に響かせる、そんな感じだ。音数が多い、のだけど楽器が巧いから、実に面白い。作曲能力の高さ、と言い換えても良いかもしれない。だから、ボクのなかでは「ちょっと不思議なジャンル感」がある。ハンペルなんかもそうだ。
不思議なことに、1968年あたりで彼らも変容してしまい、バップ亜種、としての面白みは幻のように消えてしまい、もっとジャズの本流のなかに巻き取られていくように思えるのだが、どうだろうか。
それにしても、1966年の東独録音を2006年にはじめて日本でアルバム化したものなのだけど、驚くほど音が良い。それだけでも聴き物。本当はレコードじゃなくても良い筈なのだ。
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Rolf & Joachim Kühn: East Berlin 1966 (1966, Another Side of Jazz)
1. Golem (Joachim Kühn) 8:57
2. Chiarescuro (Joachim Kühn) 8:08
3. Don't Run (Rolf Kühn) 7:57
4. Flowers In The Dark (Rolf Kühn) 7:40
5. The Sound Of Cats (Joachim Kühn) 13:06
6. Turning Point (Rolf Kühn) 4:11
Rolf Kühn (cl), Joachim Kühn(p), Klaus Koch(b), Reinhard Schwartz(ds)
Remastered by Tetsuji Tamano
Recorded at Studio Berlin-Ost, February 22 and 23, 1966.