K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Alexander von Schlippenbach: Features (2013) 何となく苦手感があったが

 シュリッペンバッハって何となく(本当に何となく)苦手感があって、35年前にグローブユニティが合わなかったんだと思う、その後は聴いていなかった。

先日、1965年のギュンター・ハンペルのレコードでのピアノが美しく、素晴らしいジャズピアニストなんだな、とはじめて認識した。

その余熱での高円寺。実に楽しく聴くことができた。

そのときの印象は、シュリッペンバッハは実にジャズの人なんだ、ということ。ポール・リットンの煽りがジャズ的な昂奮で満ちていたこともあるが、エヴァン・パーカーまでジャズらしく聴こえて、面白かった。ジャズからの遠心力が強いベイリーや、ジャズっぽい形をとりながら諧謔で離脱するICPの面子と比べ、音の形はimprovised music的な部品を揃えながらも、ジャズへの強い求心力を感じさせるシュリッペンバッハのトリオはいいなあ、と思った。

このアルバムはドラムが本来のメンバーであるポール・ロヴェンスであるが、音空間はライヴと同じ感触。あの時間を濃厚に思い出すことができる。音は疎でも密でもない。適当なバランスの良さで空間に配置されている。同じ編成の山下洋輔トリオ(1970年代)が表層の速さと比較し、音の姿態の変化の緩やかさが分かりやすさ、だったと思う。同じ編成のシュリッペンバッハ・トリオは表層の緩やかさと比較し、場面を旋回させる音の姿態の変化の速さ、のようなものを感じ、面白かった。

加えて、実はジャズサックス奏者っぽく聴こえるエヴァン・パーカーがいいなあ、と痺れる自分も居るのだ。いや楽しいアルバムだ。つい、シュリッペンバッハの再発レコードを2枚、注文してしまった(グローブユニティしか持っていないので)。

Features

Features

 

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Alexander von Schlippenbach: Features (2013, Intakt Records)
1. Feature 1 2:10
2. Feature 2 3:26
3. Feature 3 4:00
4. Feature 4 5:38
5. Feature 5 3:15
6. Feature 6 4:31
7. Feature 7 5:14
8. Feature 8 3:29
9. Feature 9 2:23
10. Feature 10 8:19
11. Feature 11 4:16
12. Feature 12 2:43
13. Feature 13 5:21
14. Feature 14 3:59
15. Feature 15 2:57
Alexander von Schlippenbach(p), Evan Parker(ts), Paul Lovens(ds)
Recorded December 11, 12, 2013 for Radio SRF and Intakt Records at Radiostudio Zürich.

www.discogs.com