K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

スガダイロー: 公爵月に行く(2019) ピアノの響きの良さが全面に

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スガダイロー: 公爵月に行く(2019, VELVETSUN PRODUCTS)
1. Solitude
2. 公爵月へ行く
3. African Flower
4. Wild Flower
5. Off Minor
6. Acoustic Kitty
7. 夏になったら鳴きながら、必ず帰ってくるあのツバクロさえも、何かを境にぱったり姿を見せなくなる事だって、あるんだぜ
8. Oceanus
9. I loves you porgy
10. 君の見る夢
スガダイロー(p), 千葉広樹(b), 今泉総之輔/(ds)
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単に個人的な嗜好なのだけど、苦手なピアノ奏者が何人かいる。板倉克行、明田川荘之、ハクエイキムそしてスガダイロー。綺麗にピアノを鳴らす奏者達なのだけど、綺麗だから流れが途切れたり、ヨジれると、凄くストレスを感じる。無理な“遊び”が入っても。痛々しく聴こえる。綺麗にスカッと、あるいは隠微に弾いて欲しいと思うのだ。

しかし先日聴いた吉田隆一のblacksheepでは、ピアノの響きの良さが全面に出て、実に良かった。要は新垣隆と同じように、吉田隆一の曲に乗っかるとピアノの旨味が4倍増するのだ。音の流れ、グルーヴのようなものと音響の整合性がグーンと上がる。

このアルバムもまさにそうで、無理な音がなく、ピアノの響きの良さが全面に出ている。極めて滑らかに音が出ているので、聴いていて楽しい。作編曲が良く出来ているのだ。もっともっと自然に強靭で浮遊感のある音が出ると嬉しいなあ、と先々への期待が高まった。

シュリッペンバッハやメンゲルベルクって、無調だったり、壊れているから好き、ってことじゃないんだよね。強靭で、粒立って、軽やかで、浮遊するようなピアノの打音が好きなんだな。だから無調でも楽しいし、モンクの曲での跳ね方も楽しい。

そんな好みに通じる感じで、楽しくなったのだ。

 

 

公爵月へ行く

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