- 作者: 星野秋男
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: 単行本
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[2019-10-02]
ディスクガイドのような本は斜め読み。だから、この本の著者の主張を巧く読み取れなかったのだ。欧州のジャズ先進地?であった英国や西ドイツは1960年代半ばから、欧州のジャズを確立していったそうだ。そして1970年頃にピークを迎え、以降、パワーを落としたと。そうすると日本より5年くらい早い勘定か。1960年代に多くの米奏者が欧州に渡った事実からすると、なるほど、なのだ。
国により盛衰の状況が違う、というのは、今の時代の国境が溶けた欧州とは違うな、と思わせる半世紀前の欧州の一断面のドキュメンタリーでもある。
そのような変革期の音を、国別に中心に紹介する本。
何よりも嬉しいのはspotifyで、著者が名盤と断言しているものを聴くと、確かに良い。とても良い。1960年代に独自性を意識しはじめた欧州のジャズの面白さを主張する本なのだけど、その面白さはボクにもよく分かる。著者の嗜好が好みに合うのだ。1969年あたりから後の日本のジャズが好きだ、ということと同じ感覚で、欧州が捉えられている。
だからディスクガイドとしても重要な本ということも分かった。
[2018-04-12] 1960年代が黄金時代?
最近まであまり聴いていなかった1960年代 の欧州ジャズのガイドブック。5年くらい前に買って、ちょっと「違和感」があったので、積んであった。
違和感というのは、著者によると「欧州ジャズの黄金時代」は1960年代であり、それを米ジャズの真似ということなかれ、のような記述。また1970年代以降、パワーは落ちた、という。
日本のジャズは1960年代末から、米国と異なる、確かに日本のジャズだよね、という音が出てきて(萌芽が銀巴里セッションだけど)、1970年代以降が圧倒的に面白い。
欧州については良く知らないが、1970年代以降のECM, ENJA, OWL, SCなどの欧州レーベルを聴いても、あるいはICP/INCUS/FMPのような即興系の音楽を聴いても、全くそのような印象はなかった。で、本の中で紹介されるアルバムは1970年以前のものが多く、知りたい情報と「重心」が異なっているのだ。
しかしロルフ・キューンとヨアヒム・キューンの1960年代のアルバムを聴いていると、確かに実によい。米ジャズの身体性を、もう少し音空間構築的な作曲の妙というか、著者の主張が全てすっと入ってくる訳でもないが、云いたいことは何となく分かる。所謂ジャズ、という括りではそうなんだろう、と思う。
気に入った奏者のディスク・ガイドとしては、勿論、有用。pre-ECM期の欧州ジャズを聴く気になっている。