Horace Tapscott: The Dark Tree 1 & 2 (1989, hatOLOGY)
[CD1]
1. The Dark Tree(Horace Tapscott ) 20:56
2. Sketches Of Drunken Mary(Horace Tapscott ) 11:32
3. Lino's Pad(Horace Tapscott ) 16:46
4. One For Lately (Thurman Green) 10:24
[CD2]
1. Sandy And Niles(Horace Tapscott ) 11:17
2. Bavarian Mist (Michael Session) 13:16
3. The Dark Tree 2(Horace Tapscott ) 18:30
4. A Dress For Renee(Horace Tapscott ) 4:57
5. Nyja's Theme(Horace Tapscott ) 19:44
Horace Tapscott (p), John Carter (cl), Cecil McBee(b), Andrew Cyrille(ds)
Producer: Gunther Georg Schmied, Pia & Werner X. Uehlinger
Recorded By, Mixed By [Mix By], Mastered By [CD-master By] : Peter Pfister
Recorded live at Catalina Bar & Grill, Hollywood on December 14-17, 1989.
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1980年頃、フリージャズはまだまだ若者の音楽で、そのなかにあって日本では井上敬三、海外ではジョン・カーターがフリー・ジャズを演る「爺さん」という扱いであった(当時のSJ誌)。今では、日本のフリージャズ第一世代は亡くなるか、本格的な爺なので隔世の感がある。勿論、当時、「へえ爺さんがフリージャズねえ」なんて雑誌読んで思っていたボクが、当時のジョン・カーターより爺になって、井上敬三に迫っているのだから嫌になる。
そのジョン・カーターのクラリネットと、ホレス・タプスコット、セシル・マクビー、アンドリュー・シリルのリズム・セクションでカーターが亡くなる2年前に吹き込んだアルバム。
聴かずとも、このリズム・セクション凄いだろうな、という最強感があるのだけど、聴くとやはり想像以上に凄い。重戦車。
シリルのウネリのようなドコドコが次第に激しい振動になり、そこにマクビーの重い弦の打音が打楽器のように降り注ぐ。これまた強い打音のピアノが緩い不協和音を煽りながら強いドライヴに向けて幾重にも音を重ねる。そこで、もう気持ちが振り切れそうになる。
カーター爺さんのクラリネットは軽やかで、正面からぶつかるのではなく、ひらりひらりと環境音のように旋律を流す。軽量級の楽器であるが故に、最高のリズム・セクションを巧く引き立てる形になっていて、思いの外、相性が良い。
やはり、こんなジャズが聴いたいね、という典型盤。文句なし。