沖至: Last message with Masahiko Sato(2018, Super Fuji Discs)
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沖至(tp, indian flute), 佐藤允彦(p)
2018年10月7日 公園通りクラシックス
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沖至は昨年8月に逝去。早いものだ。特に感慨はない。時間の流れはそういうもので、フリージャズの第一世代の奏者の退場がゆっくり進んでいる。
本盤は2018年のライヴ録音。聴きたかった、とは思うが、それが叶う土地に住んでいる訳ではない。1984年だったか、に本牧ジャズ祭で聴いたことで満足している。アラン・シルヴァと豊住さん、だったかな。鎌倉稲村ガ崎に住んでいた(今もか?)たらば書房の伊藤さんが呼んだ、と本牧ジャズ祭の石橋さんに聞いて、たらば書房の旧店舗に行ったな。1980年代の前半の頃。
そう云えば、1981年の夏に鎌倉を訪れた時、駅近くのカフェに沖至ソロのチラシがあって驚いた。これも伊藤さんのアレンジだったのかな。もう40年前の話だ。その頃は、その後、15年くらい鎌倉市内に住むとは思ってもいなかったが。
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本盤の音は透明だ。沖至も佐藤允彦も肉体が濾過されたような、ただ無の空間から音が湧き出るような透き通った感触、がある。ECMのような、着色料のようなイコライズで透明にしているのではい。深淵な無、から音が流れ出ているのだ。
いや既に肉体を感じさせないのは沖至だ。佐藤允彦の音は、どこまでも透き通っているのに、鋭く・素早い乱流のような音のヴェクトルが聴き手を絡め取る。この強い勢い、打音はなんだろう。弾き手の意思というよりは、ピアノの意思のような無機的な音が強度と速度を訴え続ける。しかし肉体や意思の影すら感じない。
そんな深く、なにもない音空間で遊ぶ二人が美しい。そんな録音に巡り会えて幸せである。聴いていて多幸感に浸っている。
[2021-01-24] 沖至と佐藤允彦とのデュオ
発売早々の入手。特に佐藤允彦の衰えぬ速度感、音の粒立ちに圧倒されている。そして沖至の管も訥々と美しい。半世紀近く前のインスピレーション&パワーの収録盤では、コンピレーションアルバムとして二人の演奏は並んでいたが、共演盤ははじめて。沖至が世を去る前の軌跡のような邂逅である、ように思える。