実に素晴らしいレコード。1970年前後のジャズの清新な音空間、コリアのトリオやゲッツとのアルバム、から地続きの空気のなかにある。パラジウムでの才気煥発、のような印象がさらに深みと躍動感を帯びたような佐藤允彦トリオに驚く。ドラムが富樫雅彦から小津昌彦に変わっているが、富樫に劣らず小津のドラムも鋭く決まっている。ある種の軽さ、あるいは躍動感を与えているのはドラムの違いじゃないか。
ゾラーのギターは初めて聴くのだけど、好み。英国のルイス・ステュアートのアルバムと似た空気、米ジャズに範をとりながら、そこに欧州的な味わいを付加したような、というか。そのような印象が、また違ったヴェクトルを持つ佐藤トリオと触発し合い1+1が3や4になるような美味しさを与えてくれる。
あとB面の流れも美味しい。一曲目はギターとピアノのデュオ。過剰でない速度感が心地よい緊張を与える。その後はジャズ・ロック。これが1970年代の記憶を蘇られる力が漲っている。痺れた。
ボクが入手したのは日本盤であるが、音質は満足するレベル。ECMと共通する透明度の高い音なのだけど、残響過多ではなく、ジャズ的な力を持った音。素晴らしい。
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Attila Zoller, Masahiko Sato: A Path Through Haze (1971, MPS)
A1. Meet 9:00
A2. Sazo 3:45
A3. Black Is The Color Of My True Love's Hair 6:30
A4. Close Up 2:25
B1. Together - Not Alone 8:48
B2. A Path Through Haze 13:48
Attila Zoller(g), 佐藤允彦(p)、荒川康男(b), 小津昌彦(ds)
Engineer: Eberhard Sengpiel
Recorded by Willi Fruth
Producer: Joachim E. Berendt
Recorded on the occasion of the Berlin Jazz Festival at Teldec Studio Berlin, November 7th 1971
入手したのはテイチク盤。