K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

佐藤允彦、豊住芳三郎: The Aiki 合気 (1997) 針を下ろした瞬間から来た

The Aiki -

佐藤允彦、豊住芳三郎: The Aiki合気 (1997, NoBusiness Records)
A1. THE MOVE FOR THE QUIET 静寂のための動 (佐藤允彦, 豊住芳三郎)
B1. THE QUIET FOR THE MOVE 動のための静寂 (佐藤允彦, 豊住芳三郎)
B2. THE AIKI 合気(佐藤允彦, 豊住芳三郎)
佐藤允彦(p)、豊住芳三郎(ds,perc)
Recorded live on the 26 th March 1997 at C・S・Aka-Renga, Yamaguchi City, Japan by Takeo Suetomi
Mastered by Arūnas Zujus at MAMAstudios

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リトアニアのNoBusiness Recordsが出版するChap Chapシリーズの1枚。dead stock状態のレコードを聴いている。

針を下ろした瞬間から来たなあ、このアルバム。

 佐藤允彦が1960年代から今まで佐藤允彦であり、それ以外の何者でもない、ことに驚きを禁じ得ない。あの粒立つピアノの音が変化自在に様々なフォルムで聴き手に向かってくる。そんなことを森山威男とペーター・ブレッツマンとのアルバムで思った。

Peter Brötzmann, Masahiko Satoh, Takeo Moriyama: Yatagarasu (2011) パラレルワールドの - K’s Jazz Days

その変化の大きさ故に全体を掴み辛い印象もまたあるのだけど、些細なこと。前述のYatagarasuやこのAikiを聴くと、美しく、激しく砕け散る音にすっかり魅了される。あのパラジウムの端々に仕込まれた美音の賞味期限が切れていないのだ。

佐藤允彦:Palladium - K’s Jazz Days

それにしても何だろう、豊住芳三郎と形作る音の空間。親密であっても癒着はなく、ピアノの音群が内包する律動を更に加速するような打音。能弁ではあるが、無駄がない。今まで聴いた録音のなかで一番フィットするような気がする。とても気持ち良い打音。1970年代の彼らの演奏から純化が進んだ姿、を聴いているような気がする。

そして、そのような二人を捉えた録音が実に良い。少し音量を上げてやると、そこで対峙する二人が居る。激しくも柔らかな音をレコードで聴く悦びに浸っている。

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The Aiki

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