K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1221) Adelhard Roidinger: Schattseite (1981) すっかり忘れていた独のベース奏者だけど直球の1980年代ECM

(ECM1221) Adelhard Roidinger: Schattseite (1981)
A1. Fü Pfü(Adelhard Roidinger) 9:17
A2. Lufti(Adelhard Roidinger) 4:22
A3. Loveland(Adelhard Roidinger) 9:18
B1. Stress(Adelhard Roidinger) 7:25
B2. Ania(Adelhard Roidinger) 4:05
B3. When Earth Becomes Desert(Adelhard Roidinger) 9:52
Adelhard Roidinger(b), Heinz Sauer(ts), Werner Pirchner(vib, marimba), Bob Degen(p), Harry Pepl(g), Michael DiPasqua(ds, perc), Aina Kemanis(voice)
Design: Dieter Rehm
Cover Photo: Christian Vogt
Liner Photo: Kurt Schirl
Engineer: Martin Wieland
Producer: Manfred Eicher
Recorded November 1981at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg
Released: Apr 1982
Schattseite - ECM Records
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どうも最近のECMのアルバムにはピンとこない、と思うのは、1980年頃のECMに対する印象が強くて、そこからの変化に対し、positiveなものもnegativeなものもあるのだけど、negativeな率のようなものが上がっているのだろう。

・ジャズのmain stream的なものに対する遠心力のようなもの、演奏スタイルや音響など何かしら周縁に向かうような、

それがECM的な音楽の印象であり、またそれを奏でるのは多くが米国の奏者であった、ようにも思う。米国のレーベルでは有り得ないような、ジャンルの境界を超えていくようなものが多かった。演奏スタイルがそうでなくても、音響自体がそのような新しさ、を醸していた、という部分もある。欧州の奏者は、リビダルやガルバレイクのような例外を除き、目立っていなかった。米国の音楽を、欧州の眼で新たにEditingする、それがECMであった。

近年はジャズ自体が1970年頃のBig bang的な拡散が進み、既に中心も周縁もなくなっていて、ECMも極く当たり前のように欧州の奏者を沢山扱っている。だから、50年近く前のアルバム群とは、個々の音のヴェクトルの在り方、は変わって当たり前なのだけど。

そんなことを考えながら、久しぶりにECMのレコード棚を触っていたら、知らない奏者が出てきた。とりあえず勢いでECMの全LPレコードを集めたので、未聴は勿論、知らない奏者も存外に多い。確かに、レコード屋に行くよりは自分の棚の方が面白い。

アデルハルド・ロイディンガーと書いて、Enjaで山下洋輔と演っていたな、と思い出した:

Adelhard Roidinger - Wikipedia

不思議なことに、このアルバムはレコードのみ。CDでは再発されていない。聴いてみると、直球のECMの音なのに。ガルバレイクやリピダルの音に通じる欧州のジャズ。ハインツ・ザウアーやボブ・ディーゲンなどENJA好みの奏者がジャズっぽい音を鳴らすが、ベースやヴィブラフォンは直球のECM。最近のECMのレコードを聴いて感じる、薄っすらとしたストレス、を全く感じず、実に楽しい。

すっかり忘れていた独のベース奏者だけど直球の1980年代ECMをしっかりと楽しんだ。

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