K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Wayne Shorterの「新譜」

ボクがジャズを聴いてきた年月、ほぼ全ての時間(気がつくと40年以上)、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、キース・ジャレットとともにあった、ように思う。だからウェイン・ショーターの死から受ける喪失感、のようもには少なからずある。

演奏も実に素晴らしい。重力という曲が象徴的なのだけど、硬質の演奏で浮遊する空間を作り出す力の凄み、を絶えず感じさせる。緩い、隙間だらけの音で表現する浮遊感とは対極なのだけど、彼が描いたSFコミックが如く、精緻に組み立てられた宇宙船のなか、での浮遊感のような演奏なのだ。

これを新譜として受け取る歓び、といったら。実存する物体としての生死を超えた贈りもの。

いつだったかショーターがBNに移籍したとき、(当時の)若手評論家が「**年ぶりに名門BNに復帰」と提灯記事書いて吹き出した。馬鹿じゃないの、と。ボクは、音符レーベル時代のBNで70年代のレーベルの劣化を見てるので、リヴァーサイドやプレスティジのように既に死んだレーベルだと思っている。まあピアソン・プロデュースの後はもう完全に別物。レーベル名が版権とともに移っただけ。

でも、この新譜がこのレーベルで出るのは素直に嬉しいなあ、と思う。

勿論、今のBNが過去の遺産を大切にしていることには大リスペクト、最高。昔の日本のレコード会社(キングとか東芝)みたいだよね。ありがとう。