K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Cedar Walton: Eastern Rebellion (1975) コールマン目当てだったがウォルトンも

Cedar Walton: Eastern Rebellion (1975, Timeless Records==>TIDAL WAVES MUSIC)
A1. Bolivia (Cedar Walton) 10:10
A2. Naima (John Coltrane) 8:37
B1. 5/4 Thing (George Coleman) 7:53
B2. Bittersweet (Sam Jones) 6:54
B3. Mode For Joe (Cedar Walton) 7:51
Cedar Walton(p), George Coleman(ts,ss), Sam Jones(b), Billy Higgins(ds)
Engineer: Elvin Campbell
Mixer: Brother Dave
Producer: Cedar Walton
Recorded on Dec. 10, 1975 at CI Recording Studio, NYC

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最近のレコード再発ブームのなかで、TimelessレーベルからのEastern rebellionを入手。本当は原盤が欲しいのだけど案外高価なので再発の中古で安価だったので。1970年代のTimelessはEnjaと並び、当時の米ジャズの少しだけ鋭角、といった主流派ジャズを集めていて好きなレーベルだ。初期よりは中途半端に売れ線が顔を覗かせたMuseレーベルをシャンとさせた感じ。

Eastern rebellionはジョージ・コールマン目当て。マイルス・ディヴィスとの共演後、1970年代から1980年代のコールマンはサンダースのような咆哮こそないが、存外にバリバリ吹いていて好み。それでいて音が軽い、だから日本で人気がないのでは、と思う。ボクは当時のウェイン・ショーターの沈殿するような音よりは好きなのだけど。

ということで入手すると、やはりコールマンは狙い通りの音。大当たりのアルバム。コールマンの軽さ、が発揮されているのがコルトレーン作のNaima。思念のようなものを振い落し、曲の美しさだけが吹き上げられる感じで、とても良い。最終曲のMode for Joeでテーマを吹くコールマンも実に格好いい。

同時に気がついたのは、リズム・セクションの良さ。シダー・ウォルトンが実に美しくピアノを鳴らす。そんな奏者だとは全く知らなかった。サム・ジョーンズも(1970年代の録音の多くがそうであった)電気増幅臭が全くない、低音のグルーヴ感がよし。ビリー・ヒギンズのぎりぎり前に出ない、木目細かな打音が心地よい。すごく良いではないか。

このアルバムはウォルトンがプロデュース。その後、3枚、Eastern Rebellion名義で出される。コールマンは本作のみ。だから彼のリーダ作とみなして良いだろう。そんな訳ではじめてシダー・ウォルトンに気持ちが向いた。そもそもブレイキーのジャズ・メッセンジャーズが好みでないあたりで、見事に視線の外にあったのだ。

1975年の吹き込みなのだけど、この手の真っ直ぐな主流派ジャズの吹き込みは、米国で「底」だったのではないか。電化マイルスのピークであり、最終期。ヘッド・ハンターズ、WR、RTFの時代。アコウスティック回帰のキース・ジャレットは自己陶酔ソロ。そんな時代。このようなジャズに再び眼が向いたのは1977年発売のハンコックV.S.O.P.が契機だと思うし、また日本でハンク・ジョーンズに焦点を当てた渡辺貞夫との吹込みが1976年。その後、ウォルトン含めコロンビアから主流派ジャズのアルバムが出る1970年代後半に入る前の録音。よくぞ残してくれたTimeless、と思う。

ボクは1979年からジャズを聴きはじめたのだけど、当時はこんなジャズを探していたのだと思う。4ビート復権と称しV.S.O.P.やGJTが喧伝されていたけれど、好みとは少し違った。こんなジャズを聴きたかったのだよな。雑誌かジャズ喫茶しか手がかりがない時代、残念だけど見つけられなかったな。

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