[ECM1013] David Holland, Derek Bailey : Improvisations For Cello And Guitar
A. Improvised Piece III
B1 . Improvised Piece IV
B2 . Improvised Piece V
David Holland(cello), Derek Bailey(g)
Cover Design: Dave Holland
Layout: B & B Wojirsch
Liner Notes [Poem]: E. E. Cummings
Recorded live at the Little Theater Club, London, January 1971.
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[2015-02-08] 音でしかない
チェロとギターのデュオ。よく考えるとホランドはマイルスとの共演時期の直後(半年後)に 、ベイリーと共演している。面白いことだ。内容的にはバーレ・フィリップスとのデュオ(ECM1010)と比べ、ジャズの残滓がほぼ抜け落ちた感じ。音でしかない。improvised musicそのもの。
でもその音が実験的で難解かというと、そうでもなくて、二人で音のカケラのようなもので空間を組み立てている。そして、その空間は緊張と弛緩を繰り返すような感じ。なんだろう、この面白さは。
ベイリーの音を聴いていると、工業世界・管理社会の未来、そこには廃墟のような溶鉱炉やコンビナートがあって、少し化学臭のする潮風で雑草が揺れているような、人影のない、そんな空虚な空間が想起される(ボクには)。そんなところに流れる音、のような印象。そんな音に付き合う、必要性はないのだけど、ヒトが作る音の始原的の意味合いが呪術的であり、意識の奥への下降手段であるならば、その降りた先が廃墟であっても良いのではないかと思う。そんな、乾いた・軽いトランス状態への道具。
ベイリーのもう1作(ECM1005)は人数が多く、また録音の定位感もよくなかった。このアルバムは同じロンドンの録音ながら、残響・定位感ともに満足できるもので、弦の会話(と云えるか?対峙のほうが正しい)を感じることができる。
このアルバムはCDになっていない。商業的には難しいだろう。でも、聴く価値がない、とは誰が断言できようか。
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