K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1289) Keith Jarrett: Standards, Vol. 2 (1983) 美旋律の開始にいきなり掴まれてしまった

Standards, Vol. 2

(ECM1289) Keith Jarrett: Standards, Vol. 2 (1983)
A1. So Tender (Keith Jarrett) 7:15
A2. Moon And Sand (Alec Wilder, Mortimer Palitz, William Engvick) 8:55
A3. In Love In Vain (Jerome Kern, Leo Robin) 7:06
B1. Never Let Me Go (Jay Livingston & Raymond Evans) 7:42
B2. If I Should Lose You (Leo Robin, Ralph Rainger) 8:29
B3. I Fall In Love Too Easily (Jules Styne, Sammy Cahn) 5:12
Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)
Design: Barbara Wojirsch
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Recorded January 1983 at Power Station, New York City
Released: 1985

https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038751127/standards-vol-2-keith-jarrett-gary-peacock-jack-dejohnette

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1980年頃までに、ボクのなかでのキース・ジャレット傾倒は終わった。それよりは正統的なジャズの面白さを知ったし、インパルスでの彼の取り組みが未完の亜種、のような印象を固定した。それでも「ECM」でadaptationさせた、あるいはfilteringされた1970年代の取り組み The survivors' suiteやリアルタイムに購入したEye of the heartの素晴らしさ、には打たれたのだけど。

だから所謂Standard trioを聴いたのはCDプレイヤーを買ってからで、殆ど1989年頃じゃなかったかな。2枚組みのライヴで良く聴いたけど、まあそんなものか、の感覚。今聴くとどうだか、なんだけど。

そんな訳で21世紀なって、随分経った今頃にこれを聴いている。1枚目ではなくて、2枚目なのは、たまたまレコード棚から出て来たのがコレだったから。レコード針が新しいうちに聴けてよかった。

A面一曲目So Tenderの美旋律の開始、そこからの展開にいきなり掴まれてしまった。ピーコックの低音のうねり、デジョネットの抑制的でありながら多彩な打音。これらが滑るように音を開いていく。そのうえでのキースのソロは、当時のピアノ・トリオの定型からは遠く、とても自由に感じる。 Standardsなんだから Standardsかと思ったら、これキースのオリジナル曲なんだな。

録音も、ピアノがやや甘い感じで輪郭が緩い。しかしアルバムの味としては良いかな、と思う。ソロに入った瞬間のベースも素晴らしくて、ピーコックの指遣いや呼吸が伝わる。弾けているじゃないか。音量的にはややオフであるドラムの明瞭さ、乾いた打音が心地よい。

B面一曲目Never Let Me Goのゆっくりとした曲の流れ、キースの粘りつくようなタッチは面白かっし、二曲目If I Should Lose Youの速度感、曲からの逸脱感はキースならではのノリで良かったなあ。そんなときの背後のデジョネットの攻めも素晴らしい。

といことで、もっと早く聴けば良かったレコード。遠からず、1枚目も聴かなきゃ。

追記:

同メンバーによる Tales Of Anotherは1977年録音のピーコック・リーダ作なのだけど、あのより放たれたような演奏のほうが好みかな。スタンダードという枠を作ったのだけど、なんか溢れる表現に枠を嵌めたような後味はある。

スタンダーズ Vol.2

スタンダーズ Vol.2

 

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