Miles Davis: Agharta/アガルタの凱歌 (1975, CBS/Sony)
A. Prelude (Part 1) (Miles Davis) 22:14
B. Prelude (Part 2) / Maiysha (Miles Davis) 23:01
C. Interlude (Miles Davis) 26:17
D. Theme From Jack Johnson (Miles Davis) 25:59
Miles Davis(tp, org), Sonny Fortune(as,ss,fl), Pete Cosey(g, synth, perc), Reggie Lucas(g), Michael Henderson(b), Al Foster(ds), Mtume(perc)
Artwor: Tadanori Yokoo
Photograph: Shigeo Anzai, Tadayuki Naitoh
Engineer: Tomoo Suzuki
Assistant Engineer: Mitsuru Kasai, Takaaki Amano
Recorded live at Osaka Festival Hall, Japan, February 1st, 1975.
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少し、好きなレコードの棚卸しをしている。ハービー・ハンコックの洪水に続き、同じ1975年の日本制作のアルバム。この時期のCBSソニーの音源は凄い。
毎月、本当に沢山のアルバムに手を出しているが、2回以上何回も聴いているアルバムは何枚あるのだろうか。レコードとCDをあわせた音源が、多分、1万近い数になると、もう何がなんだか。生きているあいだに聴き終えられる気がしなくなってきた。あと20年前後だからなあ、余命が。
ということもあって、少し冷めてきたかな、熱が。
このアルバムは1979年に入手してから、何回聴いたことか。まずアルバムを手に取る。横尾忠則の強烈な赤っぽいジャケットで、体内の何かが覚醒する。レコードA面の途中、フォーチュンのソロが終わる辺りに針を下ろす。コージーの空間を這い回るようなソロに打たれる。そのあと、虚空に漂うルーカスのビートが聴き手の着座を飛翔させる。エムトゥーメが引き継ぎ空間のなかに打音が響く。そして満を期したヘンダーソンのビートがせり上がり、聴き手を地上まで叩き落とす。そこで登場するマイルスとヘンダーソンの饗演。テーマとともにA面が終わる。
B面半ばに針を再び落とす。フォーチュンのフルートともに緩いカリプソの鼓動が。このマイシャを聴くときの多幸感が好きで、これも何回も何回も。
こんな聴き方はなかなかCDでは難しい。美味しい部分を美味しく頂けるのがレコードだな、と思う。
[2011-09-27]
内省的な音楽はとても好きだけど、そんなのばかり聴いている訳ではない。野菜や魚ばかり食べている訳ではなくて、ときに血が滴る肉を食べてみたいと思うように、激しいファンクを聴いてみたい。だけどジョージ・クリントンだと胃にもたれそうなので、ジャズ好きのボクは1975年のマイルス・デイヴィス。中山本ですっかり有名になった時期の演奏だけど。
ファンクは肉体的なアプローチで陶酔感に向かう形而下的な音楽だと思うのだけど、マイルス・デイヴィスの「ファンク」は踊れない異次元のファンク。その躍動は形而上的で肉体をすり抜けて精神の深いところを押し続ける。ファンクのフォーマットを借りたマイルスの音楽。
マイケル・ヘンダーソンとレジー・ルーカスが刻む単純なリズムが好きだ。繰り返し繰り返されるパルス状の音の連鎖が軽いトリップ感を造り出す。そのうえで、おどろおどろしくマイルスやピート・コージーがブロウし続ける。「ファンク」のフォーマットが単純なリズムの繰り返し構造の正当性を主張する。
ボクはLPレコードで聴いていたから、A面の最後のリズムパターンがフェードアウトしていく瞬間が好きだ。ヘンダーソンのチョップが何かが起こる予感を沸き立てながら、だから。この音楽には終わりがなくて、全てがフェード・アウトだ。だから、はじまりも終わりのない不思議な音の円環のなかにいるような感覚。
1979年にジャズを聴きはじめたときに、この1975年大阪フェスティバルホールでのライヴを最後にマイルス・デイヴィスもフェード・アウトしていた。厳しい不連続のなかにボクたちはいた。とても長い時間だったような気がする。新しいアルバムを持って彼が復帰するまで。それから彼が再びフェード・アウト、永久の、のなかに消えるまでは瞬く間だったのだけどね。
追記:
このアルバムとパンゲアはCBSソニーの作成。ジャケットは横尾忠則。時代の空気がたっぷりと吹き込まれている。これらのアルバムは何故か米国では発売されていなかった。日本のみ。この時期のマイルス・デイビスの「ファンク」に対する否定的な評価を物語るのではないか。当時のジャズ喫茶でも、リクエストすると随分嫌われた記憶がある。