K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Thelonious Monk: Thelonious Alone in San Francisco (1959) 緩く美しく

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Thelonious Monk: Thelonious Alone In San Francisco (1959, Riverside Records)
A1. Blue Monk 3:41
A2. Ruby, My Dear 3:55
A3. Round Lights 3:33
A4. Everything Happens To Me 5:35
A5. You Took The Words Right Out Of My Heart 3:58
B1. Bluehawk 3:37
B2. Pannonica 3:48
B3. Remember 2:36
B4. There's Danger In Your Eyes, Cherie 4:17
B5. Reflections 5:03
Thelonious Monk(p)
Cover Producer And Design: Harris Lewine, Ken Braren, Paul Bacon
Engineer : Reice Hamel
Mastering: Jack Matthews
Photograph: William Claxton
Producer: Orrin Keepnews
Recorded in San Francisco; October 21 and 22, 1959.
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久しぶりに聴いた。モンクのソロは好きだ。モンクそのものの音で純度が高い。ソロだから当たり前、かもしれないが、ソロで奏者の好きな音の純度が上がるかと云うと、そうでもないことが多い。自己陶酔係数があがって、奏者ごとの好きな味が損なわれる場合があるからね。モンクは不動。誰が入ろうがモンクはモンク。

ヴォーグの漆黒の闇から沸き上がるようなソロ、コロンビアの軽快なソロをよく聴いたような気がする。いずれも打音がパキっと強い感じ。昔の盤で聴くと妙な膜のようなものが取れて、すっきりとした素朴な音になる。

このサンフランシスコのソロは、ステレオ盤で持っている。意外なことに繊細な響き。当時のステレオ盤の約束のように音圧はさほど高くない。エヴァンスのモノラル盤のほうが打音が強い。それが不満で聴いていなかったような気もするが、今聴くと、それが良い。緩く美しく、そんなモンクのピアノが聴くことができる。弛緩した感じが良いのだ。

Monk Alone in San Francisco [12 inch Analog]

Monk Alone in San Francisco [12 inch Analog]

  • アーティスト:Thelonious Monk
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: LP Record
 

 [2013-06-14] お仕舞いの時に聴こえたら

ここ数日聴いている古レコード。永島慎二の漫画にも出ているらしいのだけど、気がつかなかった。モンクの足踏みが聞こえる。キースのような唸りはない。すこぶる変で懐かしく美しいピアノの響き。

オリジナルかどうかはよく分からないのだけど、初期のプレス。ステレオ。音圧がとても強く、モンクという存在のリアリティを強く感じる。国内盤(ビクターのSMJ)の場合、足踏みを強調するようなイコラズ処理がされていて、モヤがかかったような音場となっている。だから、このレコードのすっきりとした、そして高域のピアノの響き渡るような音場に惹かれてしまった。だから寝ても覚めても聴いている。

 いつだったか何かに書いてあったのだけど、死に至るプロセスの最終局面で脳内麻薬が分泌され、そのヒトの宗教的背景や体験に根ざした天国的な映像が想起される、らしい。だから死の淵から生還したヒトが語るその映像が臨死体験だそうだ。ならば、このアルバムのモンクの一音一音が、ボクがお仕舞いの時に聴こえたらいいなあ、とふと思うのだ。そんな感情を湧かせる力があるオトなのだ。

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