K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

湘南ランニング:雨上がりの海岸を走った(大船から大磯)


折り重なる雲の向こうに江ノ島が浮かんでいた.
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仕事で湘南へ出かけることがある.元来,結核患者のサナトリウムとして開発された土地だから,風光明媚な田舎.金沢と比べてもね.

海岸沿いを走ることがとても楽しみで,木曜日の晩に呑みすぎて目覚ましをかけ忘れたが,金曜日の朝,しっかり眼が覚めたのには驚いた.土曜日の朝,つまり今朝が待ち遠しい時間を過ごした.昨夜は寒い雨がしょぼしょぼ降っていて,大船駅前のバーから,窓越しに滲むネオンを見ながら心配していたのだけど(だから,またもや呑みすぎた),朝起きたら雨は上がっていた.

6時過ぎに大船駅前のホテルを出発し,友人が待つ江ノ島水族館のあたりへと向う.空は薄暗い雲が低く垂れ,湿気を孕んだ風が頼りなく吹くなかを遅めのピッチで走る,走る.身体がみるみるギアチェンジし,呼吸が良い感じで安定していく,このギアチェンジ感が快感なのだ.

走り始めて2年弱なのだけど,その動機はシンプルで強い.仕事のゴタゴタに仕事換え,転居の連鎖のなかで,とても気持ちをしっかりさせる自信がなかったからだ.先般亡くなられた登山家であり医師の原真さんが著書の中で「毎日10km走る人間に欝はいない」,と明確に言い切っていたのを思い出してから随分走った.気がつくと,走るととてもとても強い快感のなかにあることが分かった.ある種のトランス手段であり,感覚がとても鋭敏になった.副産物は体重10kg減.

それはさておき,今日は大磯駅までの24kmを海岸沿いに走る.景色を見ながら,写真を撮りながら,友人と喋りながらの楽しい道中で,およそ競技の世界には縁遠い.今日の話題は第二の人生.僕の仕事換えについて,同世代の友人からコツのインタビューを受けたような感じ.「コツってないのだけど,続きは金沢でね」,っという「呑みにおいで」が結論.

雨上がりの湘南なのだけど,なかなか晴れなかった.水平線が曖昧で,海と雲が溶けたような空,天蓋を割って差し込む光,崩れる波濤...金沢並の表情豊かな雲や光を楽しんだ.大磯に着く頃には青空が広がる予感に満ち,とても楽しい気分で海岸から駅までの坂道を駆け上がった.だいたい6分弱/kmのピッチを維持できたので,のんびりランニングとしては上々.少し曇っていた気持ちがキレイに晴れた.

それにしても,走ると酒を呑んで不確かになった気持ちがすっきりするが乾きが強くなり,酒を呑むと乾きが収まるが気持ちが不確かになる,なんだか仕方がない日々を過ごしている.



あとは少し写真を掲載:
  
       大船には湘南モノレールがあって,      片瀬川の脇.懐かしい雨上がりの光景.
       江ノ島までつながっている.
       少し青い空が覗いている.

 
江ノ島の前の通りは薄暗かった.         淡い色の光の中に浮かんでいた

 
       見た目には大きな烏帽子岩だが,          柳島までくると湘南の果てに来たような
       いつも写真にはうまく写らない           不思議な開放感をいつも感じる.
                                天蓋が割れて光が差し込んできた

 
大磯に近づくと青空が広がってきた.         すっかり桜も役者が変わって

 
     大磯駅湘南平の端.丘を駆け上がる高揚感     もう見えぬ海の記憶が陸封され