K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Enrico Rava & Stefano Bollani: The Third Man (2008) 金澤らしい朝を迎えて聴くにはいいのだけどね


Enrico Rava & Stefano Bollani: The Third Man (ECM,2008)
1. Estate
2. The Third Man
3. Sun Bay
4. Branco Y Preto
5. Birth Of A Butterfly
6. Cumpari
7. Sweet Light
8. Santa Teresa
9. In Search of Titina
10. Branco Y Preto
11. Birth Of A Butterfly
Enrico Rava(tp), Stefano Bollani(p)
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先週から透き通った鉱質のような大気に覆われた朝を迎えていた。それはそれで、明るい心持ちで一日を過ごすことができて嬉しい。勿論、金澤らしく大きな空を複雑な形の雲が流れていくし、ときとして雨も降る。だけど、それは何となく違うような感じもあって、何日も続くと違和感が募ってくる。ナンダカオカシイ。

だから今朝のどんよりとした雲のもと、いまにも降り出しそうな湿気を孕んだ風を受けると、なんとなく冬が近づいてくる感じで、ワクワクしてくるのだ。雷が鳴らないかなあ。そんなコドモのようなことを考えながら、寺町台地のうえから自転車で駆け下りた。



The Third Manは、そんな北陸の朝に、雲の重なりや仄かに見え隠れする空の淡い蒼さを愛でるような気分のとき、そっと聴くような音楽。さすがEicherプロデュース。地中海に突き出した長靴の形をした国から来たラテン気質の連中に、北欧とか北陸(笑)の陰翳、みたいな音空間を演出させている。

ボクの気持ちのなかには、ちょっと違うんじゃないのか、という大いなる不満が理性的にはある。だけど、それ以上に、「造られた音空間」が徹頭徹尾気持ちよくできあがっているのだ。だから、このCDの作者はEnrico RavaでもStefano Bollaniでもなくて、The Third ManたるMansfred Eicherなのだろう。なんともシンボリックなCDタイトル。ECMの音楽として、ボクはとても美味しく頂いております。

それにしてもRavaのプレイもさることながら、Bollaniのピアノが儚さを秘めながら響いている様は、なんとも麗しい。こんな朝に迂闊に聴いていると、すっかり沈殿してただ流れるように時間を過ごしたくなってしまうな。本人名義のアルバムではタッチの強さや華麗さ、楽しさが存分に味わえるのだけど、こんな演奏もしっかりやるのだと、すっかり瞠目してしまった。いや、Eicherに瞠目させられた。だからボクののんびりとしたジャズ行脚はECMからはじまって、未だにあまり熱心じゃないECMファンを続けているのだろうな。恐れ入りました。