K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・犀川河畔:引越してはじめての冬にクロスカントリースキーをしてみた(冬の復習1)


法島の犀川河畔の公園を歩くころには翳りが強くなって、樹樹のコントラストが弱くなり、空に溶けそうになってきた。随分前に随分歩いた北八ヶ岳の冬を想いだしていた。

------------------------------------------------------------------------------------------

そろそろ気持ちの中に冬が入り込んできている。気温が日々下がり、昨夜も歩いていると指先が凍えてきた。そんな細かなことから冬を感じてしまう。ボクが一番好きな季節。今年は新しいスキー板がとても欲しくなっている。

勿論、スキーも冬が好きになる要素なのだけど、自室の窓から白い峯々が見えることが嬉しいのだ。そのような土地に住まうことが夢だったから。いつしか、といっても遠からず白い峯のうえに立ちたい、と思っている。

それはさておき、そんな昨冬のはしゃいだような気分を思い出すだけでも、とてもとても楽しい。今冬が始まる前に昨冬の復習をしてみよう、という気分になった。

------------------------------------------------------------------------------------------

はじめての金澤の冬は数年振りという大雪に見舞われた。寺町台地の上にあるボクの住処の周辺もしっかり積雪。だからその日は、起きたときからソワソワして我慢ができなかった。長良坂まで近いと云っても歩いて10分。クロスカントリーのスキー靴(運動靴みたい)を履いて、細い板を担いで、ちょっと恥ずかしいので小走りで長良坂を駆け下りた。

 

最初はいい天気。気温が低いので、降雪あとのキラキラした感じがとても気持ちが良い。下菊橋で河畔に降りて板の感触を楽しむ。雪質もよく、とても気持ちの良い滑り出し。下菊橋から上流を目指してスキーを漕ぐ。

クロスカントリースキー、すなわちノルディックスキーアルペンスキーもボクのなかでは同じ楽しみ。どちらも、板の上に乗る感覚が楽しい。平地で板に乗って、快適に滑る気持よさ!振り返ってスキートレースを眺める楽しさ。こんな日には誰もない。ボク独り。こんな広い空とフィールドにだれもいない贅沢。

上菊橋を過ぎて法島あたりでは公園になっている。雪で薮が覆われ、好きなところを歩いていける。整然とした植林のなかを歩いていると、宮沢賢治の虔十公園林を思い出した。まわりには誰もいないので、不思議な心地。

どんどんスキーを漕いで、誰もいない路を進む。楽しくて、結局、大桑のあたりまで漕ぎ続けてしまった。大桑のあたりは一面の雪原状になっていて、その中で独りでいると、なんとも云えない孤独感が湧いてきた。引き返すタイミング。

その頃から、次第に日が翳りはじめた。樹樹のコントラストが弱くなり、空に溶けそうになってきた。随分前に随分歩いた北八ヶ岳の冬を想いだしていた。

クロスカントリースキーはのんびり漕いでも歩くよりは早い。早々に下菊橋に戻った。気がつくと、そのあたりは雪遊びの子供で一杯。独りで山の中を歩くが如くの内省的な心地は、子供達の歓声で遠くに消えていったような気がして、ふっと我に帰った。帰りも恥ずかしいなあ。橋の上から見ている人もいたしね。

 

それにしても迂闊だったのは、橋の下を考えていなかったこと。あたりまえなのだけど、橋の下には雪が積もらない。だから,頭の中で「ゴメン」と手を合わせて、パタパタとコンクリートの上を歩いてしまった。河川敷でのクロスカントリースキーの話をすると、案外多くのヒトが「橋の下はどうするの?」と聴いてくる。そんなことが頭に浮かばないバカさ加減に、時折、うつむき気味になってしまう。

--------------------------------------------

今年の冬は、クルマを金澤に持ってきたので、医王山のあたりまで出かけて、林道をスキーで漕ぎたいなあと思っている。とても楽しみ。それにしても同好の士はおられないのかなあ。