K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Robert Glasper: Black Radio(2012) 気持ち良い期待はずれ

 最初にグラスパーを聴いたのはいつだろうか。もう5年か6年くらい前、San DiegoのNormの家に行ったときではなかろうか。高台の赤茶けた砂漠のような土地に彼は住んでいて、まわりにはサボテンが生えている。メキシコ国境に近くて、随分暑くて乾燥している。だから時々山火事が発生する地域なんだけど、サボテンが護ってくれたよ、って彼は笑っていた。そして、家族3人(彼はスウェーデン系、夫人はアフリカ系で娘は連れ子)でパリに行ったときに聴いたグラスパーが良かった、って話しをしていた。帰国してからすぐに買ったのはCanvas。確かに彼が云うように上品にグルーヴする感じが心地良かった。彼の話や音から、長く欧州のアフリカ系奏者だと思い込んでいたのだけど、米国だった。
 それからグラスパーは気がついたら入手するようにしていたのだけど、まあCanvasの印象が強くて、あとはまあまあ。今回、久々に新譜のBlack Radioを手にした。人気があるようだ。

 各トラックでR&B系の歌手が唄い、素敵なBlack Music、が仕上がっている。歌モノのコンピレーションのようなアルバム。曲もよく出来ている。聴いていて、とても心地良い。最近はこんなblack contemporary(死語?)はあまり聴いていないので、なんとも新鮮に感じてしまった。

 ピアノが奥に引っ込んでいて、全体の音造りに腐心しているように思える。だからblack contemporaryの熱をjazzで冷ましたような心地良いオトやウタのアルバムが出来たのだろうな、と思う。身体との距離も絶妙だし、オトも低温。ただグラスパーの時としてキラッと響くような旋律が好きなボクにとっては、期待値とは違った。だけど、こんな気持ち良い期待はずれ、はアリかなあと思った。

 

 

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Robert Glasper: Black Radio(2012,Blue Note)
   1. Lift Off/Mic Check (featuring Shafiq Husayn)
   2. Afro Blue (featuring Erykah Badu)
   3. Cherish The Day (featuring Lalah Hathaway)
   4. Always Shine (featuring Lupe Fiasco & Bilal)
   5. Gonna Be Alright (F.T.B.) (featuring Ledisi)
   6. Move Love (featuring KING)
   7. Ah Yeah (featuring Musiq Soulchild & Chrisette Michele)
   8. Consequence Of Jealously (featuring Meshell Ndegeocello)
   9. Why Do We Try (featuring Stokely Williams)
  10. Black Radio (eaturing Mos Def)
  11. Letter to Hermoine (featuring Bilal)
  12. Smells Like Teen Spirit
Robert Glasper(key), Casey Benjamin(as,fl), Derrick Hodge(b), Chris Dave(ds), Jahi Sundance(turntables),