K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Robert Glasper: Everything's Beautiful (2016) 映画Miles Ahead、そして先行的に公開されているトラック

  マイルスの伝記映画Miles Aheadの音楽と、グラスパの発売予定の新作Everything's Beautiful (マイルスのテープをremixだそうで)の関係が、よく分からなかったのだけど、この記事では上手く説明されている。発売・公開時期だけ同期されていて、中身は関係ない。ふーん。

 映画のプロモーション映像をみると、マイルスには見えない。主演のドン・チードルがただの「チンピラ」にしか見えないのだ。多分、人物固有のオーラ、眼の力のようなものが決定的に欠けていて、怖ろしくリアリティが感じられない。でも、見るだろうけどね。

 

 この映画のサウンド・トラックapple musicで公開されているが、大半はマイルスの既存曲。そこにグラスパ他の新曲が少しだけ。最後の曲はグラスパ作で、ラップにマイルス?のトランペットが被せてあるが、陰翳のようなものがなくて、外に開かれた感じの音がかえって面白い。マイルスが存命だったら、作ったかもね、という「新しさ」がある。うまい。

 記事によると、グラスパの新作Everything's Beautiful はマイルスのテープをremix+オーヴァー・ダブしたものだそうだ。既にapple musicで2曲公開されている。聴いてみるとグラスパ色が圧倒的に強い。Black radioの延長線。これは、これでとても好み。記事によると、コロンビアに保管されていたテープをもとにグラスパが作ったそうだけど、本当だろうか。ワーナーに遺されている筈のDoo-Bopのトラックならば、何となくアリ、のような気がするが、コロンビアのテープなのかなあ、は想像がつかない。

 マイルスのremixと云えばラズウェルのものが素晴らしく、マイルスの現代性(というより普遍性)を捉えたものであったが、これはグラスパの新作と思えば、なかなかの出来。楽しめそうだ。残りの楽曲でマイルスの音に対する取り組みの全貌は見える、のだろうか?