K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Anatol Ugorski: Messiaen/鳥のカタログ(2003) 改めて聴き直す

 クルマに乗っていた。iPODクラシックを車内の音響装置につないであって、ランダムに再生させている。今日、メシアンの鳥のカタログがかかった。今、アヴァンギャルドな感じのジャズを聴いているのだけど、気持ちは音響的なものに向いている。ティボーンもそういった流れなのだけど、ウゴルスキが弾くメシアンの楽曲の破壊力は凄まじい。音響の塊であり、その美しさ、は例えようもない。しかも、それが放つ奇妙な味もなかなか辛い。改めて聴き直してみると、最初に感じた難解さ、よりも音響を肥大化させた音の極北のように感じた。面白い。

[2012-09-27記事] 彼方に見える音空間の扉

 突然、夏が終わった。この1年ばかりは、季節の結節点で気分がおかしくなることは無かったのだけど、今年は様子がおかしい。久しぶりの感覚。気持ちが冴え渡って、感覚のなかにある熊手のようなものが、随分遠くまで伸びていくような、指呼の距離に月があるように感じたり、耳を澄ますと彼方を走る列車が鉄橋を渡る様が聞こえたり、するような感覚といおうか。だから睡眠も短くなり、大気の様子が変わると、もう寝ていられない。

 だから、印度支那から帰ってきてから楽しく聴いていた身体性が高いオトも次第に消えていき、透明度の高い音が欲しくなってきた。

 今朝、夜明けとともに目覚めて聴いているのはメシアンの鳥のカタログ。随分と前に手に入れたのだけど、音楽という定義の周縁に位置するような音で、ちょっと聴いて閉口してしまったもの。メシアンが鳥のさえずりを楽譜に落としたものだという。

 ジャズの世界でも、いわゆるFree JazzやImprovised Musicのようなものを随分と聴いたのだけど、結局、反伝統のような反**のオトの在り方のつまらなさに気がついてしまった。中上健次には、「破壊せよ」とアイラーが云ったように聞こえたのだろうが、破壊に意味を見いだす純真さには目眩をしてしまう。新しいオトへの限りなき訴求であってこそ、意味があるように思える。だから、そのオトのフレームワークが伝統的であろうと反伝統的であろうと、純粋な音そのもののが与える心象でしか価値は計れないのではないか。

 この鳥のカタログを聴いていて、鳥をプロセスとした作曲が音楽という枠をすっとはずしてしまい、純粋に音であることを主張するような在り方に驚いてしまった。鳥のさえずりは美しいオトではあるが、音楽ではない。鳥のさえずりをなぞったピアノのオトは音楽なのだろうか?ただ美しいオトの躍動。

 そんなヒトの手により構築された音楽概念を軽々と飛び越えるようなオトの自由な響き、前衛であるとかどうとか、破壊であるとかどうとか、そんな次元から高く飛翔したオトの面白さ.....

 透明度が高い空から響くような天のさえずり、を聴きながら、それを感じることが秋がはじまったことである、と感情の基層からの信号を確かに受け取ったように思った。彼方に見える音空間の扉が開いたような朝。

 あっ、書き忘れそうになったのだけど、ウゴルスキのピアノの音は純度がとても高く、どの音も美しく煌めくようにきこえる。だから、メシアンも改めて聴き直そうと思うのだけど、ウゴルスキのオトも聴こうかな、って思っている。

Catalogue D'Oseaux / La Fauvette Des Jardins

Catalogue D'Oseaux / La Fauvette Des Jardins

 

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Anatol Ugorski: Messiaen/Catalogue D'Oseaux鳥のカタログ, La Fauvette Des Jardins(2003,DG)
    1. Le Chocard des Alpes キバシガラス
    2. Le Loriot キガシラコウライウグイス
    3. Le Merle bleu イソヒヨドリ
    4. Le Traquet Stapazin カオグロヒタキ
    5. La Chouette hulotte モリフクロウ
    6. L'Alouette lulu モリヒバリ
    7. La Rousserolle effarvatte ヨーロッパヨシキリ
    8. L'Alouette calandrelle ヒメコウテンシ
    9. La Bouscarle ヨーロッパウグイス
   10. Le Merle de roche コシジロイソヒヨドリ
   11. La Buse variable ノリス
   12. Le Traquet rieur クロサバクヒタキ
   13. Le Courlis cendré ダイシャクシギ
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   14. La Fauvette des jardinsr