K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(BLP1595) Cannonball Adderley: Somethin' Else (1958) Blue NoteのRudy Van Gelder

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 何となく前の記事でRudy Van Gelderについて、Negativeな印象が残るような書き方をしたので、もう一つ書く。

 このレコードはあまりにも「名盤」で有名な1枚。ボクも何枚持っているだろうか。学生の時に買ったキング盤、亡父の東芝盤など。演奏はあまりも有名なので、ガイドブックでも読んで欲しい。

 このレコードを聴くと、しっかり音場の統一感は取れている(当たり前)。前掲のレコードのミキシングは問題だったのだと思う。そして、ヴァン・ゲルダーとアルフレッド・ライオンが造った音、ECMと対極にあるような録音、に面白さを感じる。

 A面では、マイルスのミュートされたトランペットの金属音が柔らかく・音圧高く仕上がるように、その他の細部は「切り捨てられている」。そのデフォルメのあっぱれさ、に惚れ惚れする。アルトは丸く仕上がり鋭さが足りないが、曲調にはぴったり。ピアノはソロ以外がかなりオフ気味。そしてアップライトじゃないか、と思うくらい残響もない。高音は抑制され籠もってコロコロ鳴っている。ドラムに至っては終始オフ気味で、曲によってはパーカッションかと思うくらい。全てがマイルスの管の音の優美さに捧げられている。

 B面ではミュートしていないトランペットの伸びやかさが、高い音圧で表現されている。それに従い、他の楽器の音も高音がやや伸びているように思える。面白い。ドラムもシンバルがしっかり。A面とB面で音場が変わっているが、レコードをひっくり返すときに、聴き手はリセットされるので違和感はない。(CDでは分からないが)

 間違いなく、大音量で聴くこのアルバムは高い音圧、かつトランペットの柔らかい響きに魅了されるように調整されている。細部は落とされている。全てのBlue Noteが、ということではないだろう。マイルスが主役で、モノラル時代のこのアルバムは、ということだ。

 最後の曲だけ、マイルスが抜けてキャノンボールが主役。ほとんど音場は変化しないが、アルトに残響を感じ、音の艶が良いように感じるのは気のせいか。とても気持ちの良い音である。柔らかで伸びきっている。

 

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(BLP1595) Cannonball Adderley: Somethin' Else (1958, Blue Note)
A1. Autumn Leaves (Prevert, Kosma) 10:58
A2. Love For Sale (Cole Porter) 7:03
B1. Somethin' Else (Miles Davis) 8:12
B2. One For The Daddy-O (Nat Adderley) 8:21
B3. Dancing In The Dark (Schwartz - Dietz) 4:04
Cannonball Adderley (as), Miles Davis(tp), Hank Jones(p), Sam Jones(b), Art Blakey(ds)
Cover [Design] : Reid Miles
Photograph: Francis Wolff
Liner Notes: Leonard Feather
Recordeing, Mastering: Rudy Van Gelder
Producer: Alfred Lion
Released:May 1958
Recorded on March 9, 1958.
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey

聴いたレコードは初期のプレス(オリジナルかは分からない)
勿論「RVG」の刻印があって、いわゆる耳刻印も
モノラル盤

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RVGの刻印がうっすら