思いの外、春が遅い金沢。肌寒い日が続く。そんな日には渓流に入りたい気持ちは沸かない。天気予報とにらめっこし、晴天が二日続く、そんなときの二日目を狙ってみた。水温上昇、を期待して。
夜明け頃、源流域はまだ氷点下から僅かに上なのだけど、日差しが暖を運んでくる。寒い中にも、春の気分が溢れてくる。はじめて渓流に入るTさんが釣れればいいなあ、と思いながら、雪を踏みしめていく。
存外に浅い場所に岩魚はついていた。試しに投入したところで、いきなり25cmくらいの良形があがる。大人しい引きが、まだ水温の低さ、を感じさせる。が、竿のしなりと、光が溢れる渓の雰囲気が深い満足を与える。
続いてT君も同じくらいの岩魚を上げる。満面の笑み。仕事前だったので、ごく短時間ではあったが、今シーズンもはじまったなあ、という気分を盛り上げた。